- 喪黒福造の憂鬱-みくる編
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:25:06.97 ID:O2wowKnOO
- わたしの名は喪黒福造……人呼んで『笑ゥせぇるすまん』
ただの『せぇるすまん』じゃございません。わたしの取り扱う品物はココロ、人間のココロでございます。
この世は、老いも若きも男も女も、ココロのさみしい人ばかり……
そんな皆さんのココロのスキマをお埋めいたします。
いいえ、お金は一銭もいただきません。お客様が満足されたら、それが何よりの報酬でございます
さて、今日のお客様は……
【朝比奈みくる(禁則事項)未来人】
ホーッホッホッホ……
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:27:09.33 ID:O2wowKnOO
- ハルヒ「今日はもう解散!」
長門「……」
キョン「それじゃ、俺達も帰りますか」
みくる「あ、あたし着替えてから帰りますから」
キョン「わかりました、じゃあまた明日」
長門「……」
バタン……
みくる「はあ……帰っちゃった……」
喪黒「すみません、わたしにもお茶を一杯いただけませんか?」
みくる「ひう!! あああなた誰ですか? どこから入ったんですか!?」
喪黒「ホッホッホ、驚かせしてすみません……わたくしこういう者でして」
みくる「モコク……フクゾウさん?」
喪黒「モグロと読むのです、朝比奈みくるさん」
みくる「ど、どうしてあたしの名前をご存知なんですか?」
喪黒「ホッホッホ……まあ細かいことは気にせずに」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:28:52.29 ID:O2wowKnOO
- 喪黒「いやあ! これは実に美味いお茶ですなァ」
みくる「あの、それで一体……」
喪黒「ああ、これは失礼。実はわたし、とある福祉事業団体に所属しておりまして、
心に悩みを持つ方をボランティアでお助けしているのです」
みくる「はぁ……」
喪黒「時に、朝比奈さん。ズバリ、あなたは今悩みを抱えている……違いますか?」
みくる「そ、そんな……あたしに悩みなんて……」
喪黒「わたしに嘘ついちゃいけません、あなたを見ていればよくわかります……どうぞ、話してみてください」
みくる「実は―――……」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:29:51.36 ID:O2wowKnOO
- 喪黒「恋わずらいですか」
みくる「……はい」
喪黒「つまり、あなたは先程の青年に恋をしているのですな……
しかし、あなたほどのルックスと、そのナイスボディがあれば、
若い男性なんて簡単に落ちてしまうんじゃないでしょうか?」
みくる「……あたしじゃダメなんです!」
喪黒「それはまたどうして?」
みくる「それは、あたしは……その……」
喪黒「この時代の人間ではないからですか?」
みくる「!!?」
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:31:07.22 ID:O2wowKnOO
- 喪黒「ホッホッホ……あてずっぽだったんですが、どうやら正解のようですな」
みくる「お、驚かないんですか?」
喪黒「わたしの知人にもあなたのように少し不思議な人間は山ほどいるものですから、
ちょっとやそっとのことでは驚きません」
みくる「そう……確かにわたしは未来から派遣されてこの時代に来ました」
喪黒「ああ、あなたTP(タイムパトロール)の方でしたか」
みくる「はい……まだ新人ですけど」
喪黒「すると、あなたはいつか未来に帰らなければならない……
それじゃあ、この時代の人間と恋に落ちるわけにもいきませんな」
みくる「その通りです……でもそれだけじゃありません。
彼は、その……選ばれた人間なんです、彼女、涼宮さんに……だから」
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:33:07.34 ID:O2wowKnOO
- 喪黒「しかし朝比奈さん、それではあなたの人生に悔いが残ってしまいます。
青春というのは今この瞬間しかないのです、後悔をしてはいけません!
たとえライバルがいようと、未来に帰ることになろうと、
いや、いつか未来に帰るのであれば、なおさらです。
その彼とは今、この時間でしか一緒にいられないのですよ?
それなのに、何も行動を起こさないというのは、いかがなものでしょう?」
みくる「で、でも……彼があたしに振り向いてくれるかどうかも……」
喪黒「なるほど……わかりました。どうやら、あなたに一番足りないものは自信のようですな。
朝比奈さん!」
みくる「は、はい!」
喪黒「あなたは自信を持つべきです、自信をつけるのです!」
ド――――ン!!
みくる「ひゃああ!」
- 47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:36:18.22 ID:O2wowKnOO
- ―――後日
みくる「あ、待って、キョン君! 今日は一緒に帰りませんか?」
キョン「俺とですか? そりゃ、構いませんけど」
みくる「それじゃ、すぐ着替えますから、ちょっと待っててくださいね」
キョン(どうしたんだろうか、朝比奈さん……また何か話したいことでもあるのだろうか?)
みくる「お待たせしました」
キョン「ああ、それじゃ帰りましょうか」
みくる「はい!」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:37:07.97 ID:O2wowKnOO
- キョン「それで、朝比奈さん……また何か俺に話でも?」
みくる「え? あ、違いますよ! あの、今日はただキョン君と一緒に帰りたかっただけなんです……ご迷惑でしたか?」
キョン「と、とんでもない! 迷惑なはずがありませんよ」
みくる「良かったぁ! あ、でも……」
キョン「どうしました?」
みくる「あの……キョン君、本当は一つだけお話があるんです」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:38:21.92 ID:O2wowKnOO
- キョン「(なんだ、やっぱりか……)何ですか?」
みくる「あの、今度のお休み、二人でどこか遊びに行きませんか?」
キョン「二人って……お、俺と朝比奈さんと二人で、ですか!?」
みくる「ふふっ、他に誰がいるんですか?
……それで、その、ダメでしょうか?」
キョン「いや! それは全然構いませんけど、どうしてまた……」
みくる「以前にお話した通り、あたしはこの時代の人間ではありません……いつかは元の時代に帰ります……」
キョン「はい……」
- 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:39:07.54 ID:O2wowKnOO
- みくる「だから、今の内に、この時代での思い出を作っておきたいんです」
キョン「そうですか……でも、だったら、他の連中も一緒の方が―――」
みくる「あたしは、あなたと二人の思い出が欲しいんです……! お願いします……」
キョン「……わかりました、この俺がきっと楽しい思い出を作って差し上げましょう!」
みくる「あ、ありがとうございます! わぁ、今から楽しみだなぁ……」
キョン「それじゃあ、次の日曜、1時に駅の前で待ち合わせしましょうか?」
みくる「はい!」
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:39:54.73 ID:O2wowKnOO
- みくる「あ……ごめんなさい、あたしの家こっちなんです……だからここでさよならです……」
キョン「そうなんですか……そうだ、良かったら家まで送っていきましょうか?」
みくる「そ、そんな! 悪いですよ……」
キョン「せっかくですから。それに、俺ももっと朝比奈さんとの思い出が欲しいんですよ」
みくる「キョン君……ありがとう、キョン君……」
キョン「こっちですね? さ、行きましょう」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:40:37.69 ID:O2wowKnOO
- みくる「今日はありがとうね、キョン君」
キョン「いいんですよ、それじゃあまた明日」
みくる「うん、また明日……
はぁ……行っちゃった」
喪黒「ホッホッホ……こんばんは」
みくる「喪黒さん!」
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:44:01.92 ID:O2wowKnOO
- 喪黒「どうですか? その後、彼とは」
みくる「あ、聞いてください! 今度一緒に遊びに行く約束をしたんですよ!」
喪黒「ホゥ! もうデートの約束ですか、その調子なら恋人同士になる日も、そう遠くはありませんな」
みくる「ふふっ、そうなれるように頑張ります!
……喪黒さん、本当にありがとうございました、今がこんなに楽しいのはみんな喪黒さんのおかげです……」
喪黒「ホッホッホ、恋に生きるというのは素晴らしいことなのです。
それを感じていただけているなら、わたしも満足です……
これからも応援させていただきますよ、ホーッホッホッホ……」
みくる「はい!」
- 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 投稿日:2008/03/02(日) 01:44:29.29 ID:O2wowKnOO
- ―――翌日
キョン「朝比奈さん、そんな律義にハルヒの言い付けを守らなくても」
みくる「いえ、良いんです。はい、お茶どうぞ・・・あれ? そのフォルダ、どうして、あたしの名前がついてるの?」
キョン「(ぐあ、抜かった!)いやあ、これはその、何だ、さあ何でしょうね、うん、何でもありません」
みくる「嘘、いいじゃないですか、見せて見せて」
キョン「(せ、背中に柔らかな感触が!)
あの、朝比奈さん、ちょっと離れ……」
みくる「そんなこと言わないで、ね、ね、見せて下さいよ―――」
ガチャ
ハルヒ「何やってんの、あんたら」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:44:48.58 ID:O2wowKnOO
- みくる「あ……」
ハルヒ「楽しそうね。あんた、メイド萌えだったの?」
キョン「なんのこった」
ハルヒ「……ねぇ、着替えるんだけど?」
キョン「ああ、いいぞ?」
ハルヒ「出てけって言ってんの!!」
キョン「あぁ、すまん(いつも気にせんくせに、どうしたんだ?)」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:45:09.82 ID:O2wowKnOO
- ハルヒ「……もう帰る!」
バンッ!
キョン「まったく……なんだ、あいつ?」
みくる(あ……あぁ……どうしよう……!)
みくる(涼宮さんを怒らせた……この世界はもう―――)
喪黒「どうかしましたか? 朝比奈さん。顔色が悪いですよ?」
みくる「も、喪黒さん! あたし、とんでもないことを……」
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:45:49.74 ID:O2wowKnOO
- 喪黒「ホゥ、それは大変ですな」
みくる「このままじゃ、この世界が危ないんです……でも、もうどうしようも……!」
喪黒「ホッホッホ、仕方ありません。彼女の方はわたしが何とかしておきましょう」
みくる「そんな! どうやって?」
喪黒「まあ、わたしにお任せくださいな。あなたは安心して、引き続き楽しい思い出をお作りなさい」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:46:47.97 ID:O2wowKnOO
- みくる「でもダメです……あたし、もう……」
喪黒「おやおや……せっかく自信をつけたというのに、すっかり弱気になってしまいましたねぇ」
みくる「うぅ……やっぱり彼のことは諦めるしか……」
喪黒「いいえ、諦めることはありませんよ。
朝比奈さん!」
みくる「は、はい!」
喪黒「今一度、あなたは恋に生きるのです! 生きなければ、ならないのです!!」
ド――――――ン!!!
ひゃああああ!!!
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:49:09.61 ID:O2wowKnOO
- ――日曜日
キョン(少し早く来過ぎたかな……しかし、休みとはいえ、今日は人が多いな……特に男)
みくる「すみませぇん! お待たせしました!」
キョン「あ、朝比奈さ―――」
男1「お、やっと来た!」
男2「ちょっと、遅いよみくるちゃん!」
男3「みくる! こっちこっち!」
男4「朝比奈、待ちくたびれたよ」
男5「みくるちゃん! 今日はどこ行くー?」
男6「いやぁ、俺も今来たとこでさ」
男7「おいおい、何やってたんだよ」
――みくるっ!!
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 投稿日:2008/03/02(日) 01:50:03.79 ID:O2wowKnOO
- キョン「あ……朝比奈さん、これは一体!? まさかここにいる奴ら全員―――」
みくる「あのね、あたしたくさんたくさん思い出が欲しいんです……
だからキョン君だけじゃ足んないんだぁ、ゴメンネ?」
――ふふっ……恋って楽しいなぁ!
喪黒「いやぁ、これもまた恋愛の一つの形ですか……
しかし、皆さんも気をつけてくださいね。人の心なんてコロッと変わってしまうものなんです。
まあ、恋愛感情なんて一時の気の迷い……精神病の一種みたいなもんだそうですから、仕方ないんでしょうなァ」
ホーッホッホッホ!!