- 古泉一樹と碇シンジが精神病院に入院したようです。
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 12:55:22.27 ID:mP6Jys+M0
- 碇「はじめまして、同室になりました、碇シンジです……」
古泉「こんにちは、古泉一樹です」
碇「……よろしく、お願いします……」
古泉「ええ、よろしく」
碇「…………」
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 12:57:02.17 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「碇くんは、何歳ですか?」
碇「僕は、十四歳です。古泉さんは……」
古泉「十六歳です」
碇「そうですか」
古泉「ええ」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 12:58:46.08 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「どうして、ここに?」
碇「…………」
古泉「すみません、答えたくないですよね」
碇「渚に……」
古泉「渚……?」
碇「いえ、少し僕の知り合いに似ているなあと思って……」
古泉「僕がですか?」
碇「はい」
古泉「そうですか」
碇「だから、古泉さんを見ると、嫌なことを思い出します」
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:00:32.47 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「すみません」
碇「別に、古泉さんが悪いわけじゃないです」
古泉「…………」
碇「古泉さんこそ、どうしてここに居るんですか」
古泉「はは、困りましたね」
碇「自分がされて困る質問を、人にするのってどうかと思いますよ」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:02:33.12 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「簡潔に言うならば、疲れたからですかね」
碇「…………」
古泉「僕、これでもヒーローをやっていたんですよ」
碇「…………」
古泉「ヒーローと言っても、悲惨なものですけどね。
神と呼ばれる少女の御機嫌取りをして、その少女が生み出す怪物と戦って、
そして、世界を護っていたんです」
碇「世界を……」
古泉「そうです。いえ、厳密に言うと、そうではありません。
僕が勝手に、護っていると思い込んでいただけです」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:04:54.87 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「段々、気付いてきたんです。
世界が、神が必要としているのは、僕ではなく彼だと」
碇「…………」
古泉「それで、全てが嫌になって、怪物――我々は神人と呼んでいるのですが、
その中に、突っ込んでいったんです。無防備な姿で」
碇「…………」
古泉「命は助かりましたが、僕は死にたかったので、残念でした。
殺せ殺せ、と叫んで、気がついたら、ここに居ました」
碇「…………」
古泉「使うだけ使われて、いらなくなったら捨てられたんです」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:07:09.19 ID:mP6Jys+M0
- 碇「…………」
古泉「すみません、重い話をしてしまいましたね」
碇「僕も」
古泉「…………」
碇「僕も、世界を護るためだって言って、そしてエヴァに乗って……」
古泉「…………」
碇「大切な人を殺しちゃったり、大切な人が居なくなっちゃったり……」
古泉「…………」
碇「もう疲れたんだ、全部、嫌になった」
古泉「そうですか」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:09:28.30 ID:mP6Jys+M0
- 碇「古泉さんは、いつからここに?」
古泉「一週間前程から」
碇「そうですか……」
古泉「他の部屋の方に、挨拶をしに行きますか?」
碇「え、いや、あまり関わりたくないです」
古泉「そうですか」
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:12:45.06 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「…………」
碇「…………」
古泉「すみません、僕が居るとゆっくり出来ませんね」
碇「いえ、別に……」
古泉「少し出かけてきます。お昼ご飯の時間になったら、戻りますので」
碇「…………」
碇(……一人部屋が良かったのに……)
碇(……大体、何で、あんなこと喋っちゃったんだろう……)
碇(エヴァに乗ったり、大切な人を殺しちゃったりだなんて……)
碇(…………嫌だ、思い出したくない……折角逃げてきたのに……)
碇(もう、綾波のことも、父さんのことも、ミサトさんのことも、アスカのことも、渚のことも……)
碇(全部、忘れるんだ、それでいい……それでいいんだ……)
碇(……寝よう)
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:16:49.15 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「こんにちは」
みゆき「こんにちは」
古泉「少し、ここに居ても、いいですか」
みゆき「ふふ、良いですよ」
古泉「……僕の部屋に、人が入ってきました」
みゆき「ああ、新しい子ですか?」
古泉「……一人部屋が良かったのに……」
みゆき「そんなこと言ったら駄目ですよ、古泉くん」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:19:23.54 ID:mP6Jys+M0
- みゆき「ここは、二次元での生活に疲れたキャラクター達が来るところなんです。
その子も、疲れたからここに来たんですよ」
古泉「…………」
みゆき「だから、ここに居る人同士でいがみ合うことなんて、あってはいけないんです」
古泉「……すみません」
みゆき「いえいえ。それで、どうしてここに?」
古泉「気まずかったので、逃げてきました」
みゆき「……そうですか」
古泉「もう少し、ここに居てもいいでしょうか」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:21:54.72 ID:mP6Jys+M0
- 碇「…………ん」
古泉「あ、目が覚めましたか」
碇「あれ……」
碇(あ、そっか……僕は、精神病院に……)
古泉「お昼ご飯の時間ですよ」
碇「……お腹、空いていません」
古泉「……そうですか」
碇「古泉さんだけで、食べて良いですよ」
古泉「いえ、僕も空いていないので」
碇「…………」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:23:07.71 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「それに、味が薄いんです」
碇「…………」
古泉「味が薄いのに、食べる意味なんて、特に無いですしね」
碇「…………」
古泉「…………」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:25:41.71 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「…………」
碇「…………」
古泉「ここに居ると、時間がゆっくり流れるんです」
碇「…………」
古泉「生き急いでいたあの頃が嘘みたいに……」
碇「…………」
古泉「……すみません、ちょっと出かけてきます」
古泉「……また来てしまいました」
みゆき「…………はあ」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:28:10.42 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「人が居ると、沈黙に耐えられなくて……」
みゆき「それは、分かりますけど、逃げるのはどうかと……」
古泉「……ここに居る時点で、逃げてるみたいなものなのに……。
それなのに、逃げることを咎められるとは……」
みゆき「けれど、私達だって、いつまでもここに居られるわけではありません」
古泉「…………」
みゆき「私も、ここに居ることが出来るのは、アニメの二期がはじまるまでの間。
古泉くんだって、新刊が出るまでの間……」
古泉「それなら、あと一年はここに居ることが出来そうです」
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:30:16.31 ID:mP6Jys+M0
- みゆき「そんなこと仰らないで下さい。……お昼ご飯は、食べましたか?」
古泉「ええ」
みゆき「嘘ですよね。手首、以前より細くなっています」
古泉「…………」
みゆき「きちんと、食べて下さい」
古泉「味が……」
みゆき「それは、病院の所為じゃないですよ」
古泉「…………」
みゆき「古泉くんの味覚がおかしくなっているだけです」
古泉「……夜ご飯は食べます……」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:32:59.13 ID:mP6Jys+M0
- 碇(……古泉さんには、お腹空いてないなんて言ったけど……)
碇(……昨日の夜から何も食べて無いから……)
碇「いただきます」
碇(……古泉さんは、味が無いって言ってたけど……)
碇(……味は、ちゃんとある……)
碇(……でも、美味しくはない……)
碇(……ミサトさんと食べたご飯は、何だかんだでおいしかったな……)
碇(……ミサトさんと、アスカと三人で食べたご飯は……)
碇「違う!!!!!!」
碇「ミサトさんも、アスカなんていう人も居ない!!!!」
碇「僕は知らない!!! もう、全部忘れるんだ!!!!!」
碇「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:34:30.56 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「…………?」
みゆき「声が聞こえますね」
古泉(……碇くんの声……?)
古泉「すみません、部屋に戻ります」
みゆき「ええ」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:35:52.18 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「ただいま戻りました……」
碇「あ……あ…………」
古泉「どうされたんですか……?」
碇「あ…………くっ…………」
古泉「息が、出来ないんですか……?」
碇「くっ……っ…………」
古泉「どうすれば…………」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:38:40.21 ID:mP6Jys+M0
- みゆき(さっきの声……古泉くん一人だけでは不安ですね……)
みゆき(少し、様子を見に……)
古泉「どうしよう、どうすれば……大丈夫ですか?」
碇「くっ……ううっ…………」
みゆき「どうしたんですか?」
古泉「みゆきさん! 息が、息が出来ないようなんです」
碇「あっ……うっ…………」
みゆき「過呼吸ですね……ビニール袋は、ありますか?」
古泉「ビニール袋……あ、これで、いいですか?」
みゆき「ええ、少し、借りますね。…………」
碇「……はあ…………すぅ…………」
みゆき「落ち着いてきたようですね」
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:40:14.46 ID:mP6Jys+M0
- 碇「……あの、ありがとうございます」
みゆき「いえ、無事でよかったです」
古泉「大丈夫ですか? 碇くん」
みゆき「それでは、私は帰りますね」
碇「ありがとうございました」
古泉「…………」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/02/23(月) 13:41:29.09 ID:mP6Jys+M0
- 古泉「すみません、何も出来なくて……」
碇「いえ、全然……」
古泉「……ご飯、召し上がったんですか?」
碇「あ、すみません……生意気なことを言っておきながら……」
古泉「いえ……その……味は、しましたか?」
碇「あ、はい。味はしました」
古泉「…………そうですか」