- (,,゚Д゚)ギコと从 ゚∀从ハインと学園都市のようです
- 56 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:13:50.11 ID:4PYVQnCY0
-
――――第五話
『それぞれ異なる同じ理由』――――――――――
気楽に見える人ほど
多くの苦悩を抱えていたりする
- 58 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:15:36.81 ID:4PYVQnCY0
- 「ハァー……」
ほとんど藍色に近い空の下、一つの溜息が散じていく。
場所は学園都市、東側を占める商業区画だ。
都市の主役である生徒達より、企業体などに所属する大人達が力を持つ領域である。
多くの背の高い建物が並び、夜という時間にも関わらず、勢いは未だ衰えない。
その騒々しさから逃げるような場所があった。
商業区画の西方、教育区画に近い位置にある資料館の屋上だ。
図書館とはまた異なる、技術的な専門書物が蔵書されているここは、
普段は科学技術・錬石技術学部の生徒がよく出入りする建物だった。
しかし今という時間において人の気配はなく、
だからこそ、というように、屋上の人影が大きな溜息を吐いている。
それは、
_
( -∀-)「あー……」
ジョルジュ=ロングヒル。
武術専攻学部所属の3年生であり、本能に忠実な男だ。
生徒達の間では『エロ野郎』『エロ先輩』などというストレートなあだ名をつけられており、
事実、彼はよく女子生徒の各部――特に胸――に触ろうとして、吹っ飛ばされている。
- 60 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:17:25.69 ID:4PYVQnCY0
- そんなジョルジュが、資料館屋上の手すりに身を預け、夜空を見上げていた。
普段の彼を知る人が見れば、まず偽者である可能性を考慮するような光景である。
_
( ゚∀゚)「陽が落ちてぇ〜、夜が来ればぁ〜、そこはオパーイパラダイスぅ〜♪」
前言撤回。
その男は、紛うことなくジョルジュであった。
しかし彼は、ふと歌うのを止め、再び溜息を吐きながら、
_
( ゚∀゚)「はぁー、やれやれ。 嫌な時期が来たもんだねー」
季節的には晩夏だ。
この地方は季節感豊かであるのが特徴としてよく挙げられるが、
ジョルジュにとっては、年間何度も気温や湿度が変わるのが好きではなかった。
_
( ゚∀゚)(いやーなこと、思い出しちまうもんなぁ……っと、ありゃ?)
少し離れた路地を、見知った顔が走っているのを見つける。
_
( ゚∀゚)「あれってギコじゃん。
こんな遅くまで忙しそうにしちゃって、生徒会の仕事ってやつかねー?
ご苦労なことだ」
ニヤニヤした視線を送ってみたり、
身を乗り出して不思議な踊りを踊ってみたりもしたが、
結局ギコは、何も気付かないまま教育区画の方角へ行ってしまった。
- 61 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:18:50.57 ID:4PYVQnCY0
- _
( ゚∀゚)「まだまだだなー、アイツも。 この程度の視線に気付けねぇとは。
ん? 今度は……」
別の方角に、また見知った姿がある。
_
( ゚∀゚)「ハインリッヒっていったっけな。
始業式の時にチェックしてたけど、
年齢に見合わない、なかなかのオパーイを御持ちのようで……」
虚空で両手をわきわきしてみたり、
身を乗り出して投げキッスしてみたりもしたが、
結局ハインは、何も気付かないまま生活区画の方角へ行ってしまった。
- 64 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:20:33.32 ID:4PYVQnCY0
- _
(;゚∀゚)「マジか……ちょっと寂しいぞ俺ー。
誰かこんな可愛そうな俺に気付いてくれよー」
すると眼下から、
<_プー゚)フ「あ、エロ先輩じゃん! 何やってんすか?
アンタが高い所にいちゃスカートは覗けねぇっすよ!
やっぱり馬鹿と何とかは高いところが好きってホントだったんすか!」
_
( ゚∀゚)「――お前はイラネ。 消えろ」
<_;プー゚)フ「ちょ、なんか最近、俺の扱いが適当じゃね!?
ギコ坊達もさー、夏に入ったくらいから俺のことをさー、テキトーにさー。
いくら俺がタフでも、流石に寂しいっすよー」
_
( -∀-)「知るか馬鹿。 俺はオパーイがねぇ奴に興味はねぇんだよ」
<_プー゚)フ「え? じゃあ、例えば太ってる男は良いんすか?」
_
( ゚∀゚)
_
( -∀-)
_
( ゚∀゚)「…………駄目だ」
<_;プー゚)フ「なんで今ちょっと間が空いたんすか!?」
- 66 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:22:45.35 ID:4PYVQnCY0
- _
( -∀-)「うるっせぇなぁ、お前。 試してみねぇと解らんだろが。
だからちょっと妄想の中で感触チェックしてみただけだ。
――そしたら駄目だった。 芯がねぇ」
<_;プー゚)フ「あったらOKしたってことっすか!?」
がくがくと身を震わせるエクストに、ジョルジュは半目を向け、
_
( ゚∀゚)「何だぁ? そこまで食いつくってーのは、アレか。
お前、俺にオパーイチェックしてもらいてぇのか? 今なら半額だぜ?」
<_;プー゚)フ「思わぬところで俺、貞操の危機ッ!! ってか金取るのかよ!」
_
( ゚∀゚)「オパーイ揉めて金ももらえる。 最高の事業じゃねーかよ。
まぁ、まだ希望者が一人もいねーんだけどさ」
<_;プー゚)フ「先輩、はっきり馬鹿って言っていいっすか!?」
駄目だ馬鹿、と言い放ったジョルジュは、手すりに預けていた身を起こした。
- 68 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:25:23.23 ID:4PYVQnCY0
- すっかり暗くなった空を仰ぎ、こちらを見下ろす三日月に目を細め、
_
( -∀-)「……もう遅ぇぞ後輩。 さっさと帰りな」
<_プー゚)フ「先輩は?」
_
( ゚∀゚)「俺ぁー……もうちょいここで涼んでいくわ。
お前のせいでオパーイへの愛が熱となって溢れ始めたからな。
ここで冷やしてステイしておかねーと、あとで生徒会の世話になっちまう」
するとエクストが笑みを浮かべ、
<_プー゚)フ「はは、やっぱり先輩って馬鹿だ」
_
( ゚∀゚)「うるせぇ。 そんでさっさと帰れ」
はいはい、と肩をすくめたエクストが背を向ける。
大剣を背負った姿を、どこか懐かしそうな目で見送ったジョルジュは、
再び大きな溜息を放った。
- 72 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:27:45.93 ID:4PYVQnCY0
- _
( ゚∀゚)「馬鹿、か……まぁ、確かにそうだよなー……」
また夜空を見上げ、
_
( ゚∀゚)「けっ、お月様も笑ってやがる。 言われなくても解ってるっつーの。
二年前のあの日から、遠回りどころか止まったまんまってことくらい、な。
だけど……」
一息。
_
( ゚∀゚)「理屈じゃねーんだ。 感情なんだよ。
返してほしい、って……無駄なのに、そう何度も思っちまうんだ」
更に深い、一息。
_
( -∀-)「――ダセェよな、俺も」
- 75 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:29:27.41 ID:4PYVQnCY0
- (,,-Д-)「今日の見回り終了ー、っと。 ただいま戻りましたー」
生徒会の仕事を終えて帰ってきたギコは、
クーやトソン達がせっせと働いているであろう生徒会室の扉を開いた。
室内では予想通り、いつものメンバーが各々の仕事を進めている。
(゚、゚トソン「おかえりなさい」
ミセ*゚ー゚)リ「おかえりー」
まずトソンとミセリが声をかけ、椅子に座って寝ていたフォックスが目を覚ます。
彼は起き抜けに飴を取り出しながら、その途中でギコに気付き、
爪'ー`)y-「……おや? おかしいなギコ君、さっき出て行ったばかりじゃ?
あ、もしかしてサボったのかい? 堂々としてるねぇ」
(;゚Д゚)「アンタにだけは言われたくない……。
ところでヒートは? まだ帰ってない?」
(゚、゚トソン「工業区画にてトラブルがあったらしいので、その処理をしているのでしょう。
何やら『俺はトレジャーハンターだー!』などと叫びながら、
科学技術学部の生徒が暴れているとか」
もはやいつものことなので、ギコは空返事をしながら自分の席に座る。
そして鞄から、先ほど買ったばかりの音楽データメモリを取り出した。
指先だけでホールド出来るような大きさのそれの表面には、
『えるえむ・しぃ』のトレードマークである黒ウサギ、その周りにはカラフルな装飾が為されている。
以前、エクストに借りて聞いてみたのがきっかけで、今ではすっかりハマってしまっていた。
- 77 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:31:26.43 ID:4PYVQnCY0
- 新曲である『ぱんきーはーと』を携帯端末へ送信しながら、ふと横を見ると、
爪゚ -゚)「…………」
隣のデスクでは、機械人形であるGが目の前に浮かぶウインドウを操作していた。
画面にはどう見ても赤と黒の1から13までの数字が描かれた札が並んでいるが、
これが仕事なのかどうかの判断がつかないギコは、それをスルーしつつ、
(,,゚Д゚)「……あれ?」
と、一つの違和感に気付いた。
帰ってきた時に掛けられる声が一つ少ない、と。
生徒会室の奥へ視線を向ければ、
川 ゚ -゚)「…………」
クーが、生徒会長専用の大型デスクで作業を進めていた。
左右にウインドウを浮かべ、手にした何枚かの資料に目を通している。
仕事に集中していてギコの帰りには気付かなかったのだろう。
そう思ったのだが、
(,,゚Д゚)(? 目が動いていない……よな?)
- 79 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:32:47.13 ID:4PYVQnCY0
- 格闘を専門とするギコは、他人の目線に敏感だ。
目線とは、攻撃位置や狙いを知らせてくれる大事な要素であり、
ギコのようなクロスレンジ型の生徒は、相手の目線を追うのが癖になっていることが多い。
そんなギコだからこそ、クーの目が動かないことに気付けたのだ。
よく見れば資料に目を通しているというより、
資料の表面に、ただ視線を置いているような感じであった。
心此処に在らず、という言葉が当てはまる光景である。
クーらしくない。
というより、あのような彼女は見たことがない。
本来のクーなら、今の時点でギコの視線に気付いてもおかしくないのだ。
だというのに、資料の上に視線を落としたまま考え事をしているのか、
こちらを見る雰囲気は欠片も感じられない。
(,,゚Д゚)(何か重大な案件でも抱えてるのかな……。
力になりたいけど、俺はそういうのよく解らんしなー)
出来ることと言えば、自分の仕事をきっちりこなすことか、
せめて邪魔にならないよう静かにしておくことだけだった。
- 81 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:34:34.56 ID:4PYVQnCY0
- (,,゚Д゚)(仕方ない。 報告書提出して、今日はもう帰ろうかな――ん?)
視線を感じて振り向けば、トソンがギコを見ていた。
静かに立ち上がり、手招きして、こちらの返事も見ずに生徒会室から出て行く。
(,,゚Д゚)「……?」
よく解らないが用があるようだ。
何かミスしたっけな、と思いつつ廊下へ出ると、トソンが腕を組んで待っていた。
ギコがついて来たことを確認すると、またもや勝手に歩き始める。
結局、彼女の足が止まったのは、生徒会室の隣にある小さな休憩スペースだった。
自販機が一つ壁に立ち、ベンチが二つほど並んでいる簡素な空間だ。
トソンは奥のベンチに腰掛け、
(゚、゚トソン「――ギコ、会長の様子に気付いたみたいですね」
(,,゚Д゚)「え? あ、あぁ……やっぱりアレ、普段の会長じゃないよな?」
(゚、゚トソン「流石に一年も一緒にやっていれば解りますか。
まったく、忌まわしいことです」
(;-Д-)「最後の言葉はスルーしておくとして……トソン先輩は何か知ってるんすか?」
するとトソンはあっさりと頷き、
(゚、゚トソン「丁度、この時期ですからね。 かつて会長が、最大の後悔を得たのは……」
(,,゚Д゚)「後悔……?」
- 82 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:36:06.93 ID:4PYVQnCY0
- (゚、゚トソン「過去、何があったのかを聞きたいですか?
どうして会長が、今の会長になったのかを知りたいですか?」
(,,゚Д゚)「…………」
ギコはすぐに返事を返さなかった。
はっきりと言ってしまえば、すぐにでも聞きたい。
クーのことは尊敬しているし、彼女の性格上、本心を見せない節があるので、
こういう機会が巡ってくるのはとても貴重なことだと解っている。
しかし、ある点においてギコの納得に反するものがあったのだ。
(,,゚Д゚)「……トソン先輩。
俺は、本人が話したがらないことを聞くのは嫌だ。
それがたとえ知りたいことでも」
(-、-トソン「やれやれ……」
トソンは苦笑を浮かべた。
(゚、゚トソン「貴方らしいですね、ギコ。
そういうところだけは好ましいですよ」
(;゚Д゚)「ト、トソン先輩が俺を褒めた……!?
あ、ありえねぇ……!! 偽者か!?」
(゚、゚トソン「撃っていいですか?」
- 85 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:39:12.80 ID:4PYVQnCY0
- 本当に弓に手が掛かっていたので、ギコは慌てて首を振った。
この容赦のなさはトソン本人であることを示している。
普通なら、まず怒るか弁解だろう。
しかしこの先輩は物理的手段に出ようとした。
それは普遍論における異常なわけで、だからこのトソンは正常かつ本物である。
まったく、と吐息したトソンが、休憩室の出口を見て、
(゚、゚トソン「会長から許しは得ています。 それも一年前から。
ギコが何か気付くようであれば、教えても構わない、と」
(,,゚Д゚)「え……本当に?」
(゚、゚トソン「私が嘘を吐くとでも? その理由がある、と?」
(;゚Д゚)「あ、いや……すんません」
(゚、゚トソン「では、話しましょうか。
過去に何があり、どうしてここに至ったのか、を。
会長も、ある意味でそれを望んでいます――」
そして、凍りついていた過去が、軋みを上げながら動き始める。
- 88 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:40:50.12 ID:4PYVQnCY0
- 授業を終え、午後の時間を訓練に当てていたハインは、
適度な汗で銀の髪を濡らしながら女子寮へと戻って来ていた。
生徒カードを提示し、術式保護を受けたガラス扉を開いて中へ入る。
从 -∀从「あー、疲れたー……」
ハインは戦闘時、他の者に比べて考えるべきことが多い。
ナイフ、銃器、術式の三つを使いこなすオールマイティーなスタイルだからだ。
特にローラーブレードを履いての高速戦闘ともなると、
一瞬の判断が結果に繋がることが多々あるため、気が抜けない。
そんな理由もあって、彼女は格闘・射撃・高速機動と最低三種類の訓練をこなさなければならず、
从;-∀从「……解ってることとはいえ、キツいよなぁ」
それなりの水準を保つつもりなら、それなりの努力が必要だ。
射程を選ばずに戦える、というスタイルは強力なのだが、維持の大変さがネックである。
そんなこんなを思いながら、ハインは自室の前へと辿り着いた。
ドアの傍にある小窓からは明かりが漏れている。
いつものことなので特に気にせず、
从 ゚∀从「ただいまー」
寮室の扉を開けてみれば、しかし返事がなかった。
- 89 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:42:13.02 ID:4PYVQnCY0
- 从 ゚∀从「……? おかしいな。
いつもならウルサイくらいの返事が来るのに」
基本的に寮は相部屋制であり、
例外なくハインの寮室にも、もう一人の生徒が生活している。
その生徒の迎えがないことを不思議に思いながらリビングへ向かうと、
从 ゚∀从「ありゃ?」
(*-∀-)「…………」
食卓として使っているテーブルに、ツーがいた。
組んだ両手に額を乗せ、俯いて動かない。
从 ゚∀从(寝てる……? いや、考え事してんのか?)
彼女の名はツー=メイル。
武術専攻学部所属の3年生で、ハインにとっては一つ上の先輩だ。
詳しくは知らないが、『とある理由』で戦いという行為を放棄しており、
午前の授業が終われば、そのまま都市部に出て好き勝手するという毎日を送っている。
ハインにとっては、それ以外のことはよく解らない先輩であった。
- 91 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:43:41.17 ID:4PYVQnCY0
- 真面目に修練をこなすハインよりも早く帰宅していることが多く、
夕食などの準備は彼女に任せていたりするのだが、
从 ゚∀从「飯の用意は出来てないみてーだなー。
おーい、ツー先輩ー? もう夜ですけどー?」
と、肩を軽く叩くと、
(*;゚∀゚)「――うひっ!?」
从 ゚∀从「あらま、先輩にしちゃ随分と可愛い悲鳴をあげちゃって。
何をボーっとしてたんすかー? 風邪?」
(*゚∀゚)「あービックリした……帰ってきたなら、帰ってきたってちゃんと言いなよぉ」
从 -∀从「残念ながら言いましたー」
荷物を下ろし、
从 ゚∀从「で、ホントどうしてそんなテンションダウンしてたの?
何か悩みでも? 恋とか? それとも……」
(*゚∀゚)「ハインって、たまに他人の領域にずけずけ入ってくるよねー」
从;゚∀从「うっ……マジか。 反省します」
(*゚∀゚)「よろしい! 先生は許します!」
- 93 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:45:07.65 ID:4PYVQnCY0
- そこで会話は打ち切られた。
夕食の用意をしていなかったツーが舌を出しながら謝り、食事の準備を始める。
やれやれ、と肩をすくめたハインは、その隣に立って料理を手伝う。
時間が遅いこともあって、簡単に作れるものをチョイスした。
二人はテーブルを挟んで座り、それぞれ腹を満たす。
途中、交わされる会話は他愛のない話ばかりだ。
今日の授業が(ry
また科学技術学部の生徒が事件を(ry
商業区画のとあるアクセサリーショップで(ry
ギコが(ry
(ry
誰が見ても楽しげな時間だが、ハインはその中で小さな違和感を得ていた。
時折、ツーの視線が遠くを見ているような瞬間があるのだ。
おそらく思考しているのだとは思うが、
普段から何も考えてないような彼女の行動しては、やはり微妙に映る。
本人は意識していないのか、こちらの視線に気付いて首をかしげるだけだった。
从 ゚∀从「……ううむ」
そして、皿に盛っていた料理をほとんど食べ終わる頃。
ハインは意を決し、しかし内心では恐る恐るといった様子で聞いてみることにした。
- 94 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:46:25.26 ID:4PYVQnCY0
- 从 ゚∀从「……先輩、もしかして体調が悪いんじゃない?」
(*゚∀゚)「へ……? 何でさ」
从 ゚∀从「なんか今日の先輩、おかしいと思う。
帰ってきた時はテーブルでボーっとしてたわけだし、
今だって別のところ見てボーっとしてたろ? 熱でもあるんじゃね?」
(*-∀-)「うーん……そ、そうかもしれないね」
从 ゚∀从「ほら、やっぱりおかしい。 普段の先輩なら、
そこでアホみたいな笑顔で『大丈夫大丈夫!』って言うはずだから」
(*;゚∀゚)「アンタの中でのあたしって一体……」
一息。
(*-∀-)「――ま、時期が時期だからね」
从 ゚∀从「時期……?」
(*゚∀゚)「どういう意味か聞きたい?」
- 97 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:48:08.30 ID:4PYVQnCY0
- ハインは少し考え、
从 ゚∀从「……それって先輩の大事な部分に関わる話?
だったら、無理に言わなくていい。
俺にはきっと、どうすることも出来やしないだろうし」
(*゚∀゚)「あはは、ストレートだねぇ。
でも、この話はあたしと同級か、それより上の人は大体知ってる話だよ。
だから、ハインが聞きたいって言うなら話してあげる。 気晴らしにもなるしね」
从;゚∀从「うーん……」
興味がない、と言えば嘘になる。
ツーが戦いを放棄している理由かもしれないし、それは前から疑問に思っていたことだ。
しかし、他人との距離感がイマイチ掴めていないハインにとって、
こういう話題にどう踏み込めば良いのか解らないのも事実だった。
だから、一つ聞いてみることにする。
从 ゚∀从「――先輩、確認していい?」
(*゚∀゚)「どぞー」
从 ゚∀从「ぶっちゃけ俺の中での先輩って、
すごく遊び人っていうか、割と駄目人間っていうか。
そんな感じで映っちゃってるんだけど……」
ツーが苦笑するのを見ながら、
从 ゚∀从「……それが本当の先輩なのか?」
- 99 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:51:41.61 ID:4PYVQnCY0
- (*-∀-)「さぁ、どうでしょう?」
はぐらかしとも言える答えに、ハインは頷いた。
姿勢を正し、
从 ゚∀从「――じゃあ、教えてほしい。 本当の先輩を知りたいから。
それに、その話を聞くことで都市の皆に近付けるなら、俺は知りたい」
(*゚∀゚)「それがたとえ、あたしの領域に入っちゃうことでも?」
从 ゚∀从「ツー先輩が、俺が近付くのを良しとしてくれるならな。
そうなったら俺も最大限、理解のための努力はするよ」
(*゚∀゚)「アンタ、本当に良い子だねぇ」
从;゚∀从「や、止めてくれ。 そんなんじゃない」
(*゚∀゚)「……じゃ、時間も時間だし、ちょっとずつ話そうかな。
判断はハインに任せるよ。 あたしの中ではもう終わった話だしね」
緊張が満ち始めるのを感じながら、ハインは言葉を待つ。
ツーは少しの間、目を瞑り、過去を思い出すように頷いた。
そして、過去の言葉が来る。
- 101 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:53:14.59 ID:4PYVQnCY0
- (゚、゚トソン「――今から二年前の話です。
貴方が入学してくるよりも、半年ほど前ですね」
静かな言葉が響くのは、生徒会詰所三階の休憩室。
ベンチに座ったトソンが語る相手は、傍に立つ後輩のギコだ。
自販機の唸るような駆動音を背景として、トソンが言葉を続ける。
(゚、゚トソン「パーティ制度は知っていますか?」
(,,゚Д゚)「三年次から組み込まれるやつだろ?
複数人でグループを作って、課外授業や対人戦を行えるっていう……」
トソンが頷いた。
(゚、゚トソン「そうです。 そして当時、注目を受けていたパーティがありました。
クー=ルヴァロンを中心とした四人パーティで、
三年生二人、一年生二人という実力的に不安を抱える編成にも関わらず、
上級生パーティとの対戦でも互角に戦えるという結果を残していました」
(,,゚Д゚)「あれ? 一年生も入れるんだ?」
(゚、゚トソン「三年以上の生徒からの誘いが無ければ駄目ですけどね」
- 102 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:55:00.03 ID:4PYVQnCY0
- (,,゚Д゚)「成程。 じゃあ、よほどその一年生二人が凄い実力を持ってた、ってわけか。
……で、そのパーティのメンバーは?」
(゚、゚トソン「リーダーとして三年生のクー=ルヴァロン。
パーティメイトは、一年生のツー=メイル、ジョルジュ=ロングヒル。
そして――」
知っている名前が出たことに驚きつつ、ギコは次の名前を聞いた。
(゚、゚トソン「――三年生のダイオード=ヴェルウッド。
この四名が、二年前において学園中の注目を浴びていたのです」
(;゚Д゚)「え、っと……ちょっと、あの……」
(゚、゚トソン「順番に説明しましょう。
まずはツー=メイルとジョルジュ=ロングヒル。
この二人は知っていますか?」
(,,゚Д゚)「確かハインと同室なのがツー先輩だったような……。
あとジョルジュ先輩は、あの有名な『エロ野郎』だよな?
そして二人は、今では戦いを放棄してるって――」
(゚、゚トソン「――そうです。
二人とも『とある出来事』が原因でパーティを抜け、
そして今でも、あのような腑抜けた生活をしているのです」
(,,゚Д゚)「……機嫌悪い?」
(-、-トソン「当たり前です。 会長と同じパーティに入っておきながら、
それを自ら放棄するなど……贅沢過ぎです」
- 103 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:56:56.35 ID:4PYVQnCY0
- でも、と続け、
(゚、゚トソン「仕方のない話なのかもしれません。
あの二人は、大切な人を……」
そこで、ギコはほとんどの事情を察することが出来た。
現在においてダイオードの姿がないことを合わせると、
(;゚Д゚)「その『とある出来事』って……ダイオードって人が、もしかして――」
(゚、゚トソン「――いえ、死亡はしていません。
彼女はまだ、この学園都市にいます。
ですが……」
そこでトソンは首を振った。
自分の意見を述べるのは違う、ということだろう。
仕切り直すように、次の言葉が来る。
(-、-トソン「……おそらくあれは、不幸な事故だったのでしょう」
- 105 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 21:58:27.76 ID:4PYVQnCY0
- (*゚∀゚)「不幸な事故だったんさ」
テーブルを挟んだ向かい側、ツーが他人事のように呟いた。
緊張という二文字が満ちる寮室内。
電灯が照らしているが、それでも暗く感じてしまうのは空気のせいだろうか。
淹れたばかりのホットドリンクを片手に、ハインは次の言葉を待つ。
(*゚∀゚)「クー先輩とダイオード先輩が意気投合した経緯は、あたしにも解んない。
あたしが一年生だった頃、あの人達は三年生だったしね。
でも、当時から有名人だった二人に誘われた時は、本当にうれしかったよ」
从;゚∀从「……もしかして隠れた実力者?」
(*-∀-)「昔の話だけどね」
首を振り、
(*゚∀゚)「とにかく、私とジョルジュは互いに喜んだもんさ。
この都市で成り上がってやるって思いもあったから、余計に。
一年生がパーティ戦に出られるなんて滅多にないことだったしね」
パーティでの活動は数月ほど続いたという。
春期にひょんなことでクーとダイオードに誘われて始まり、
(*゚∀゚)「ちょうど今頃だったかな。
あの時の私達は、同級生どころか上級生をも相手にすることが出来ていて、
本当にも楽しくて……絶好調ってああいうのを言うんだろうね」
- 106 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:00:50.35 ID:4PYVQnCY0
- 从 ゚∀从「…………」
(*゚∀゚)「お調子者で馬鹿だけど、誰よりも勇敢に立ち回ったジョルジュ。
射程を選ばない武器を担いで、冷静沈着に戦いを見据えるクー先輩。
そして、同級生では敵無しの実力者だったダイオード先輩。
パーティ行動以外の時でも良くしてくれて……」
でも、と言い、
(*-∀-)「――それも全て、あの時に終わったんさ」
从 ゚∀从「何が……あったんだ?」
(*-∀-)「大したことじゃないよ。 訓練さ。
クー先輩とダイオード先輩の、次のパーティ戦を見据えた調整目的での訓練。
互いに非殺傷モードの武装で戦っただけ」
傍で見ていたツーにとって、それは訓練とは思えない戦いだった。
術式をも絡めた攻防はただひたすらに眩しく、圧倒されるばかりで。
修練館の一室を使っての戦いだったが、
音や衝撃が外に漏れているのではなかろうかと思えるほどだったという。
- 108 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:02:26.35 ID:4PYVQnCY0
- 二人の激突は徐々にヒートアップしていった。
汗と笑みを浮かべ、楽しそうに得物をぶつけ合う。
羨ましい、と思いつつも、ずっと見ていたくなるような攻防。
だが、そこに僅かなズレが生じた。
原因は今になっても解らない。
激突による空気の乱れか、汗か、集中力が途切れたのか、別の要因があったのか。
解らないが、攻撃を仕掛けていたクーの手元が狂った。
咄嗟のことにダイオードは受け切れず、勢いに乗ったクーも止められず。
高速の一撃が、ダイオードの身体を穿ったのだ。
(*-∀-)「刃引きされていたって、武器の重量が変わるわけじゃない。
ある程度の勢いと一緒に叩き込まれたら、そりゃ怪我だってする。
実際、訓練での怪我は確かにあったし、そのためにすぐ近くに保健室もあるわけで。
……でも、当たった位置が悪かった」
目立った外傷は特に見受けられなかったが、
ぐったりとしたダイオードを看た保健教師は、すぐに医院へ行くことを勧めた。
その結果、解ったのは、
(*-∀-)「神経系が深くやられちゃってね。
ダイオード先輩は右半身……特に右腕の機能を完全に失っちゃったんだ。
しかも長く昏睡状態が続いたせいで、目が覚めた時には筋力も体力も落ちちゃってて、
もう二度と剣は握れないし、左手で戦おうにも半身が自由に動かないから……」
- 110 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:05:01.81 ID:4PYVQnCY0
- 从 ゚∀从「……それで、どうなったんだ?」
(*-∀-)「それからずっと入院生活。 半身が動かないからベッドの上でね。
最初の内は、私達もクー先輩もお見舞いに通ってたんだけど、
段々とダイオード先輩から元気が無くなってきてるのが解って……。
気持ちは解るよ。 今まで自信を持っていたものを一瞬で失っちゃったんだもん」
ツーは続きを言わなかったが、ハインには解っていた。
戦う力を失ったダイオードの見舞いに来るのは、戦う力を持った後輩と同級生。
その時、ダイオードが何を思ったのかは解らないが、前向きに捉えるのは難しかっただろう。
自分が失ったものを持っている者達がいて、
それを眺めるのは、やはり辛かったに違いない。
(*-∀-)「それで、途中から私とジョルジュは面会謝絶になっちゃって、
それでもクー先輩とだけは、たまに言葉を交わしてたみたいだけど、
今じゃまったく。 たぶんダイオード先輩が拒絶してるんだと思う」
从 ゚∀从「そっか……うん、どういうつもりかを理解することは出来ないけど、
ダイオードって人の気持ちはちょっとだけ解る気がする」
でも、
从 ゚∀从「じゃあどうしてツー先輩とジョルジュ先輩は戦いを……?」
- 112 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:08:42.03 ID:4PYVQnCY0
- (*-∀-)「自分でもよく解らないんだ。
ダイオード先輩が戦えなくなっても、あたし達は戦える。
事故の直後は、ちゃんとそう思ってたはずなんだ」
けど、と苦笑して、
(*-∀-)「身体を起こすのにも苦労しているダイオード先輩を見て、
あぁ、人ってこんなに脆いんだなって思っちゃって。
思っちゃいけないって解ってたんだけど……」
ハインが見る先、テーブルの上にあるツーの手が握られた。
(*-∀-)「なんだかね。 やる気が無くなっちゃったんだ。
ジョルジュの方はあたしにも解らないけど、少なくともあたしはそう。
戦うことに意味が無くなった、っていうか……」
从 ゚∀从「先輩……」
(*-∀-)「脆いよね、人間って。 身体もだけど、心もそう。
大事な人が弱っていくのを見て、自分も弱っちゃってんの。
馬鹿みたいだよね」
どう見ても無理な笑みを浮かべ、
(*゚∀゚)「はは、ホント……馬鹿だよ。 あたしもアイツも」
- 113 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:10:19.62 ID:4PYVQnCY0
- (゚、゚トソン「――誰が悪い、というわけではないのでしょう。
実力が拮抗している者同士、訓練でも熱が入るのは当然です。
本気になるということは、相手を打ち倒すという気持ちがあるからで、
だから、そういった事故が起こるのは仕方のない話だったのかもしれません」
でも、と否定し、
(-、-トソン「――それでも、会長がやってしまったんですよ。
この事実だけは変えられません。 特に、会長自身には」
(,,゚Д゚)「…………」
(゚、゚トソン「ツーとジョルジュは当時、
会長とダイオード先輩のどちらも尊敬していたようですが、
対し、特に二人を可愛がっていたのはダイオード先輩だったようです。
だから尚更やり切れないのでしょうね」
- 115 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:11:36.52 ID:4PYVQnCY0
- 大切な人が、大切な人に傷を入れた。
しかも、二度と剣を握れないまでの傷を、だ。
三年生二人と一年生二人でありながら、学園中の注目を浴びたパーティ。
将来性抜群である以上、外からは当然として、ツー達も期待に胸を膨らませていただろう。
もしかしたら自分達が、学園都市における頂点を目指せるかもしれない、と。
それを壊したのは、事故とはいえ、クー=ルヴァロンだった。
ツーやジョルジュのショックも大きかっただろうが、
右腕の機能を失ったダイオードと、当事者であるクーも相当なダメージを得たはずだ。
(゚、゚トソン「それからですよ。 会長が生徒会長を目指したのは。
同年の下半期始めに立候補して、前生徒会長よりも多くの支持を得ることで勝利。
そして、今の生徒会が始まったのです」
(,,゚Д゚)「どうして、生徒会長に……」
(-、-トソン「そこまでは……私にも解りません。
想像は出来ますが、所詮、それも偽物です」
トソンも知りたいところなのだろうか、その両手が膝の上で強く握られていた。
尊敬する人の思いに近付けないことが悔しいのだろう。
だからせめて、その人の傍で最大の努力をこなしているのだ。
- 119 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:13:02.37 ID:4PYVQnCY0
- トソンのことが少しだけ解ったギコは、それを心に秘めつつ、
(,,゚Д゚)「……ダイオード先輩は? 今、どうなってるんだ?」
(゚、゚トソン「都市の北側に医院があるのは知っていますね?
そこで入院生活をされているようです。
詳しくは私にも、そしてほとんどの生徒にも解らないでしょう。
本人の希望なのか、そういった情報はまったく出ません」
実力がありながら剣を握れず、医院で過ごす者。
その事故を目の当たりとして、戦いを放棄している者。
そして、そのことから目を背けるように、生徒会会長という役職に従事する者。
(゚、゚トソン「……そういうことが、二年前のこの時期にあったのです。
上級生の多くはこれを知っていますが、あまり話には出ませんね。
そして、むしろクー生徒会長を支持する者も多く……つまりはそういうことでしょう」
ギコは、ハインが来て初めて起きた騒動のことを思い出す。
結局は偽物だったメールの内容を信じ、クーのために剣を振るった上級生がいたことを。
あの原動力は、この件から来ていたのかもしれない。
- 122 名前: ◆BYUt189CYA 投稿日:2009/08/23(日) 22:18:06.42 ID:4PYVQnCY0
- (゚、゚トソン「当時は悲劇と呼ぶ者もいました。
会長を哀れみ、同情する声もたくさんありました。
確かに、それは悲劇だと言えるのかもしれません」
(,,゚Д゚)「けど……どうしようもない話だよな。
戦いだと、そういうことが起きるのも仕方ない」
(゚、゚トソン「そうですね。 会長も同じ考えだったと思います。
だからこそ、生徒会長になり、学園を守っていくことにしたのだと信じたいです」
しかし、
(゚、゚トソン「私は悔しいです、ギコ。
私では、彼女達の過去に触れることも浸れることも出来ません。
それが……どうしようもなく悔しいです」
(,,-Д-)「……俺もだ」
そして、言葉の応酬は終わりを告げる。
過去に何があったのか。
それは今、この場で暴かれたわけだが、
当事者達も思いに理解は届かず、そして何も変わっていない。
そのことを思いながら、ギコは拳を見て、
(,,゚Д゚)「――俺達は所詮、部外者、か」
と、小さく呟いた。