外資系企業に勤めてたけど今日クビになった

261 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/23(月) 23:48:43.71 ID:/isx2e20
みなさん、ご無沙汰しておりましたが、帰ってまいりました。
ご指摘の通り、旅行に行っていました。色々な人が保守してくれて嬉しいです。
いくつか質問してくださった人がいるので、それに答えてから投下していきたいと思います。

それでは宜しくお願いします。

201:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/21(土) 02:03:59.78 ID:ySN2xhQ0
>>1は日本語と英語どっちが得意なの??
頭で考えるときはどっち?

222:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/21(土) 14:00:54.14 ID:IdSjT5U0
ところでナイアガラってアメリカとカナダの国境で見たのかな。橋のある所の。
さっきテレビで見たんだが、ここで>>1たちは見たのかと思ったら
、なんだか幸せな気分になったぜ

223:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/21(土) 14:04:05.64 ID:XMZTICwo
カナダ側から見たって言ってなかったっけか
なのでアメリカ→カナダなので2人で初めての海外旅行ww

224:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/21(土) 15:12:25.00 ID:UrKOXRA0
NYのおすすめ和食レストラン教えてくれ!

234:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/22(日) 00:37:03.41 ID:chd6eewo
>>1がきれい過ぎてなんか途中から読めなくなってしまった
これ釣りじゃないんなら、できたら>>1みたいな人はvipとかには来ないでほしい
こういう人が来ちゃだめなんだよ

235:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/22(日) 00:40:51.96 ID:YtapSDQo
>>234
いいんだよ。
おまえみたいに、自分の勝手な価値観を他人に押し付けるような頭の弱い子だってVIPにいていいんだ。

266 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:04:50.69 ID:EttwVf60
気長に書けと応援してくれた方、どうもありがとうございます。
あ、みなさん、断り無く旅行してしまってすみませんでした。ではでは

>>201
あちらにいた時は英語で考えてましたが、今は日本語です。
元々英語はまったく喋れませんでした。

>>222
>>223

>>224
まだあるかどうか分からないけど、グリニッチ・ビレッジのネロの隣にあるTen-Junっていうところによく言ってました。
その他にはテリヤキ・ボーイっていうエセ和食ファストフードによく行ってました。安いしすぐ食べれるので。
でも、自炊に適う日本食はありませんでした(すし含む

>>234-235
昔から自分の出来事を語るスレを見るたびに、自分も書いてみたいと思っていました。
ブログには書けないし、誰かに言うこともできない。
vipみたいなところがあってよかったと思っています。

268 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:19:05.35 ID:EttwVf60
最近お笑い番組よく見るんですけど、世の中には面白い人がたくさんいるんですね。
では本編投下したいと思います。

269 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:20:45.33 ID:EttwVf60
2007年3月下旬、私は東京に戻った。
空港の駐車場では、ボンネットの上の陽だまりで猫が体を丸めて目を細めており、まだ寒さの残る風が春の訪れを告げていた。
帰朝後すぐは、新しい部屋に移るまでは、会社が六本木の某エリア内に借り上げていたレジデンスに住むことになった。
私は久々の東京の生活を満喫した。部屋を探し、家財道具を購入し、毎日がピクニックだった。

会社は2004年に赤坂から六本木へと移っていたため、私は同じ日比谷線沿線の広尾に新居を構えた。
勤め始めた頃は、六本木の小さな部屋にただ眠りに帰るだけの生活を送っていたが、ニューヨーク勤務を終えて若干の経済的・精神的余裕があったこともあり、
彼が帰ってきたときのことも考えて少し広めのファミリータイプの部屋を借りた。
寝室にキングサイズのベッドを置き、しばらく私はその3分の1くらいを使って寝ていた。
広いベッドで寝たことが無かったため、ずっと身を縮めて寝るようにしていた。今でもその癖は抜けない。

二人の生活を想像しながら家周りのものを取り揃えた。
お揃いの食器、カウンターに置くペアのスツール、大きな冷蔵庫にワイン・キャビネット。もちろん、キャビネットには焼酎しか入れなかった。
私はとても幸せな気分で毎日の買い物に出かけていた。

271 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:26:30.81 ID:EttwVf60
4月になり、帰任後初の仕事は、新人研修の教育係であった。
これにはいくつかの理由があったように思う。
1つは、入社直後の新人にニューヨークでの経験を伝えることで刺激を与えること。
もう1つは、女性新人に対する配慮である。ある事情から、弊社の新卒は約6割が女性だった。
最後の1つが最も重要で、プロパーのアソシエイトのうち、私だけが暇だったのだ。
東京オフィスにおける私の扱いはまだ定まっていなかったため、仕事が無かった。これには若干の説明が必要だろう。

272 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:30:31.77 ID:EttwVf60
当初、東京では私を不動産自己資本投資部(Real Estate Principal Investment Area; REPIA)に配属する予定だった。
しかし、ボブの尽力により、配属は事業法人部(GIG)へと変更された。
ところが、私は東京にいた間は金融機関法人部(Financial Institution Group; FIG)や
バイアウト・ファンドなどを顧客とするスポンサー部(Sponsor)と仕事をすることが多かったため、
自分の顧客を全く持っていなかった。
また、外資系の証券会社では、顧客の担当範囲は、そのままバンカーの縄張りを意味する。
例えば、東芝担当のバンカーに断りも無く東芝に面会を申し込んだり提案を行うことはタブーなのである。
つまり、私は各バンカーがまだ手を出していない顧客を自分で開拓していくしかなかったため、始動直後は相当暇になることは明らかだった。

私としても、東京のマーケット観を取り戻すとともに、新人とのコミュニケーションを取るなどして助走期間を設けた方が良いと思った。
かくして、私は4月の多くの時間を新人研修に割くことになった。


275 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:39:17.67 ID:EttwVf60
4月3日の朝、私は会社に向かった。ニューヨークにいた頃の癖で、タクシーではなく電車に乗ってしまう。
会社に着き、IDカードを作り、PCのセットアップをITに依頼して私は新人研修の部屋に向かった。
研修用の部屋に自分が読み終わったFinancial TimesやHerald Tribune、参考書籍などを置くなどするためである。

リード夫妻の「The Art of M&A」シリーズ、ジョン・ハルの「Financial Engineering」、ファボッツィの「The handbook of Fixed Income」などの金融書籍から、
「ウォール街」、「虚栄の篝火」など、ウォール街を描いた映画のDVDなどだ。

私の就職が半ばなし崩し的に決まったことは既に述べた。
通常、投資銀行に来る若者は学生時代からこれらの書籍や映画に親しみ、万感の期待を胸に入社してくる(ものらしい)。
私はそもそも投資銀行がどのような職業なのか分からなかったので、睡眠時間を削ってこれらに接し、足りない予備知識を補った。
もちろん、いずれも実務的にはそぐわないが、これらはいずれも世界中の大学やビジネス・スクールで親しまれている。
弊社の新卒の多くは日本の大学を卒業しているため、英語に慣れるためにも、時間のある研修期間中に消化しておけば、ニューヨークでの研修が楽になる。

と、読者の大半にとってはどうでもいい前置きを書いたのは、私がこうして自分のお古を大量に搬入した背景を説明したかったからである。
私は両手いっぱいに本やDVDを持って、部屋に向かった。


277 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:48:09.37 ID:EttwVf60
研修部屋のドアの前まで来たとき、ドアが突然開き、ノブにかけようと思っていた私の手は空を切った。
ドアを開けた本人との視線が交錯する。黒ぶちのおしゃれメガネと3つボタンの黒スーツが初々しい。
と思った次の瞬間、私は研修部屋に大量の書籍とDVDとともに鮮やかなヘッド・スライディングを決めた。

(いった・・・何なのよもー・・・)

私は急いで立ち上がり、あたりを見回すと、みなこちらを見ている。どうやらガイダンス中だったようだ。

1 「あ、あの、今日から新人研修をお手伝いさせて頂きます1と言います。みなさん宜しく。
   今日は本とDVDを持ってきたので、みなさん興味があればご自由に持っていってください」
人事「(何なのこの子・・・?HR(人事部)の新人かしら?)
   1さん、どうもありがとうございます。コーヒーが無くなったみたいだから、ポットに入れてきてくれる?」
1 「あ、はい、分かりました!ではみなさん、またランチのときに」
人事「はい、よろしくね。それと、あなた、靴脱げてるわよ」
1 「・・・!! あはは・・・」


278 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 00:54:06.34 ID:EttwVf60
床に散らばった本とDVDをまとめて、コーヒーポットを抱えて部屋を出た。
後で知ったことだが、人事には私がIBDから研修の手伝い要員として派遣されることが伝わっていなかった。この人事のことを遠藤さんと呼ぼう。

私は入社5年目にして、初めてお茶汲みというものをすることになった。
というのも、外資系の証券会社では、フロントと呼ばれる我々が雑用をすることは一切無いからだ。
1年生から秘書がつき、身の回りのことの殆どは秘書が取り仕切ってくれるので、我々は仕事にさえ集中していれば良い。
私がコーヒーを入れ終えて、ランチのサンドイッチのデリバリーを終えて部屋に戻ると遠藤さんは血相を変えて先ほどの態度を詫びてきた。

私はてっきり雑用もやらせろと言われたのだなと思っていたので、別に気にしていない旨を伝えた。
そこで私は、一計を案じた。
私が講師として登場するまで、人事部のお姉さんになりすますことにしてはどうか?
幸い、彼らの面接に私は関わっていないので、私が投資銀行部門所属であることを知る者はいない。
バック・オフィスに扮した私への接し方を通じて、彼らの人間性を観察することは非常に面白く思えた。
遠藤さんは先ほどの件の申し訳なさも手伝って、しぶしぶではあるが承諾してくれた。


281 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:01:35.11 ID:EttwVf60
それから私は、時間の許す限り研修部屋に行くようになった。
幸か不幸か、仕事はまったく降ってこなかった。人事部の新人に扮するには十分な時間が私にはあった。
この間に温めていたビジネス・プランについては、後々紹介していきたい。

それから毎日、いつもよりカジュアルなスーツを着て、いそいそと研修部屋に向かった。

(うちもまだ若か。大学院卒くらいには見えるとよ、きっと)

実際、当時はまだ27にもなっていなかった。
見た目も韓国から輸入していた化粧品で完全装備、、、していたつもりだったが、後で女性新人に聞いたところ、新人でないのは明らかだったらしい。

「大学入りたての新人は、あんなに身なりにお金はかけられません」

これは誤算だったが、女子以外には隠し通せたのだから良しとしたい。

283 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:07:15.94 ID:EttwVf60
私は新人と一緒に講師の講義を聞き、熱心にメモを取り、時に居眠りをし、新人と一緒に遠藤さんに叱られたりした。
新人達が丸の内のbloombergに行った研修で、お菓子を食べすぎて苦情が来たときは、遠藤さんと一緒に新人を叱りもした。
いつも遠藤さんに叱られてばかりだったので、このときばかりはとても気分が良かったが、後で新人達にずるいと怒られた。
新人達に「研修に行ったらお菓子たくさん持ってきてね」と指示をし、バナナを持ってこさせたのは私だった。
私は「これが投資銀行。上司のために泥を被ったあなた達は、部下の鑑ね」と言い、バナナは私の朝食になった。

休憩時間にはクッキーを食べ、コーヒーを飲みながら、談笑した。
女子とは恋の話(9割は私の妄想だが)で盛り上がり、男子とは仕事の壮絶エピソード(9割は私の実話だが)で盛り下がった。

新人の飲み会にも参加した。
あるとき、西麻布のミューズというクラブに連れて行かれたときなどは、同じビルに入っている某社1年生にナンパをされてしまった。
私はこれも一興と、話に乗っかってみた。名前を勝也としよう。

273:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 00:31:07.63 ID:LNoBSIDO
この流れなら言える



おそらくその新人女性の中の一人は俺の知り合いだ

274:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 00:39:01.90 ID:urADPsEo
>>267
婚活?
ここでメアド晒せば一発さwwwwww

279:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 00:54:45.99 ID:hMBZfwYo
ドジっ子wwwwww
年上ドジっ子かわいいなwwww

280:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 00:59:07.43 ID:BspLNrMo
俺の中で1にアホ毛が生えた

284 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:17:50.69 ID:EttwVf60
>>273
誰だろう。。。あの代の子はみんなとてもいい子だったよ。
お友達に宜しくね

>>274
それをしたら、vipperとは言えないと思うんだぜ

>>276
よろぴく

>>279
私としたことが動揺してしまったのです
いつもはそんなこと無いよっ!

289 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:26:35.49 ID:EttwVf60
勝「飲み物おごるから俺と踊らない?」
1「えー、本当?」
勝「うん、ジントニック二つ!」
1「(クラブでジントニックってことは、こん人下戸や無かろうね?)
  ありがとー♪」
勝「俺このへんに住んでるんだ、西麻布」
1「(分かる分かる、うちもそうやったと)
  えーかっこいいー」
勝「良かったらこの後遊びに来ない?」
1「(チャラチャラやがー、この新人)
  どうしよっかなー」
勝「お酒もあるからさー」
1「どんなお酒?」
勝「森・・・森なんだったかな?」
1「・・・! ・・・森伊蔵?」
勝「あーそれそれ!一緒に飲もうよ」

286:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:23:55.30 ID:hMBZfwYo
お菓子ひでぇwww
お前がやらせたんじゃねえかwwwwwwww

でもドジっ子は正義だから

290:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:31:33.15 ID:urADPsEo
らめぇぇぇ
森伊蔵逃げてぇぇぇ
空にされちゃうーーーwwwwww


291:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:33:56.93 ID:LNoBSIDO
ジントニックは酒とは言えないな

295 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:38:57.31 ID:EttwVf60
>>286
遠藤さんが
「私は本当に悲しいです。みなさんはしっかり研修を受けてきたと思ってたのに」
で始まり15分も説教してる間、私は誰かが私をチクらないかどうか不安だった
投資銀行は、みんな年も若いし近いから、ちょっと学校のような雰囲気があります
入社1年目とは言わずに、1年生って言うしね

>>288
うーむ、持ち帰らせて頂きます

>>290
空にはできなかったのさ。。。

>>291
でもそこがバーなら通かと構える。
バーで最初にマティーニかジンを頼む人は、ベースの味を確かめる人。
クラブでジントニックを頼む人は、決定力の無い人。

298:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:42:50.21 ID:urADPsEo
何でクラブでジントニックは決定力の無い人なんだろ?
バーだとまずはそこの空気を読むのに簡単に作れるジントニックは判るのだが

304 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:53:42.96 ID:EttwVf60
>>298
もてる人はすぐ女捕まるから、テキーラやジン、ウォッカとかのすぐ酔える酒をショットで飲んでる。
ジントニックを飲んでいる人は、酔おうと思っていないか、長期戦を強いられている人、という判断です。

296 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:39:06.17 ID:EttwVf60
森伊蔵は私も飲んだことが無い。鹿児島の酒蔵の芋ものだったはず。こ、こんな若造が何故?
勝也くんをテキーラでベロベロになるまで酔わせてからお家にお邪魔して焼酎だけ持って来れないものか。
そんなことを考えていたら、横槍が入った。株式部の新人である。彼を達也としよう。
彼は研修の初日に私がずっこける原因を作った、ドアを引いた人その人である。

達「おい勝也、うちの人事に手出すなよ」
勝「おお、お前の会社の人なのか?じゃあ同業じゃん。
  お前も人にちょっかい出す前に相手見つけろよ」
達「いいのか?美波に言いつけるぞ?」
勝「なんだよ、やぼな奴だなー。いいよ、じゃあ帰るよ。1ちゃん、またね」

ああ、森伊蔵が去って行く・・・(T□T) 達也くん、野暮すぎ。

達也と勝也は就職活動中からの知り合いなのだと言う。
2007年、時代は変わり、外資系金融への就職は全就活生にとって羨望の的となっており、
内定した学生は各種交流会を通して知り合い、同じ業界であればだいたいの人間が顔見知りになるのだと言う。
誰一人知り合いも無く、寂しさいっぱいで入社した私とは大違いである。

306 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 01:54:13.71 ID:EttwVf60
達「1さん、ごめん。あいつ学生時代から軽い奴で」
1「ふーん、そうなんだ。知ってるってことは、達也くんも彼と一緒によく遊んでたんだね」
達「え!?いや、そういうわけじゃなくて」
1「(なんで焦ると?)
  どうしたの?」
達「俺はこんなとこあんまり来なかったよ。軽いやつ好きじゃないし」
1「(なんばかっこつけとーと?)
  じゃあなんでここにいるの?」
達「それは・・・みんな行くって言うし、1さんも来るって言うから」
1「じゃあ私も軽い女ってわけだ」
達「いや!そんなつもりで言ったわけじゃ」
1「冗談よ、冗談。いつも来ないなら、今日は楽しみなよ。私はもう帰るからさ」
達「え?あ、はい・・・おやすみなさい」
1「はい、おやすみ」

307:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:56:03.78 ID:W4WgRaUo
>>306
お姉さんだなー

308:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:56:13.89 ID:urADPsEo
いっぱい飲める時点でそこそこ強いと思う…
弱い人はそもそも日常的に酒を飲む習慣を持たない
持つと酔いつぶれて二日酔いとかリバースして大変だから

309:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 01:57:12.86 ID:.dyn9ago
あしらい方がカッコイイ

310:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:01:11.06 ID:SitiKKko
年上にそんなあしらわれ方したら逆に燃えるわwwwwww
どうやったら落とせるんかなって思ってしまうww

312 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:10:01.17 ID:EttwVf60
>>307
お姉さんですもの。伊達に年は取っていない

>>308
二日酔いするのはチェイサーをちゃんと飲まないからだよー
ちゃんと水を飲んでいればほろ酔いトロトロな気分を味わって、翌日はスッキリしてます

>>309-310
素直が一番。何事も正攻法です。

313 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:10:35.79 ID:EttwVf60
今思えば、彼はこのとき私と飲みたかったのかもしれないが、なんとなく気乗りしなかった。
自分は軽くないと言うなら、それなりの戦略があるだろう。
クラブに来て友達の獲物を横取りしているようでは、チャラ男以下である。リスクを取らずにリターンを期待してはいけない。森伊蔵返せ。
私は行きつけのバー、アンバーに向かった。魔王のキープボトルで森伊蔵への想いを慰めようとした。

その後、何かと達也は私に話しかけてくるようになった。
ある日、コーヒーを買いにトレーディング・フロアに行ったとき、帰りのタバコ部屋で彼と会ったときのことである。
彼が話しかけてきた。

316 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:17:50.89 ID:EttwVf60
達「1さんは、結婚とか考えないんですか?」
1「どうして?」
達「いや、HRだったら、いつかは結婚しなくちゃいけないでしょう?」
1「どうして?」
達「え、フロントと違って給料も低いし、キャリアだって・・・」
1「あのね、達也くん」
達「あ、はい」
1「お金が無くたって、キャリアが無くたって、二世を誓う恋人がいなくたって、人は生きていけるでしょ?」
達「それはそうですが・・・そんな人生悲しいじゃないですか」
1「案外楽しいわよ」
達「それは嘘でしょう」
1「何が言いたいの?」
達「いや、別に・・・」

いつもこんな感じの話をする子だった。
その後、私が講師として新人の前に現れてから、彼は私に話しかけてこなくなってしまった。
他の新人もかなり驚いていた。それもそのはず。ただの人事と思って色々な話をしていたのが、人によっては直属の上司だったのだから。
少しバツの悪い思いをしたが、研修が終わると、私は彼とタバコ部屋でよく会うようになった。
そのエンカウント率を訝しみながら、私は彼に先輩として、色々な話をした。
何も意図は無かったが、泰司の話は、しなかった。


314:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:13:13.86 ID:urADPsEo
いや、チェイサー以前に体質的な問題として
酒を分解する能力が極端に低い人間もこの世には居るんです…

315:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:16:39.68 ID:gkNV4Ngo
>>312
テキーラの飲み方ってどんなの?
私はテキーラショットで飲む時、塩とレモンを頼みます
ベロッグイッカプッと

317:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:19:36.20 ID:W4WgRaUo
あー、だめだ。
久々すぎて「泰司」が「寿司」に見えてしまう。


318:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:21:14.85 ID:hMBZfwYo
てか>>1たばこ吸うのか
エロスww

321 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:28:16.45 ID:EttwVf60
>>314
あ、酵素の数が少ない、とかだよね?うちの両親もそうだよ。一杯飲んだらまっかっか

>>315
それを知らなくて、レモンを先に食べたら
「お前、テキーラの飲み方も知らないのかよ」
って言われて凄く恥ずかしかった。
(だって、、、テキーラなんて洒落たもん、高いからって泰司は買ってくれんちゃもん)
と思ったのはまた別の話だ。

>>317
寿司でもいいよ。まあ仮名だから名前はどうでもいいのだ。

>>318
お客さんとの話題づくりのために、営業になってから吸うようになりました

322 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:28:46.76 ID:EttwVf60
研修が終わり、私の仕事の方も本格的に始動した。
上司らの担当顧客には営業をかけられない私は、彼らが担当していない業界、企業を開拓することにした。
ニッチな産業の業界のトップ企業や、やや小さめの企業にアポイントメントを取って訪問していった。
幸い、会社の名前を出せば、どんな企業にもアポイントメントは入った。
通常、M&Aであれば、時価総額が300億以下の企業は顧客対象にはならない。手数料の額と人件費が見合わないからだ。
しかし、資金調達、特に株式発行を伴う資金調達については話が別だ。手がける金額が同じでも、手数料は10倍になる。

時代は、ジョブレス・リカバリーと呼ばれる時期に突入していた。
国民の一人当たり平均所得は横ばいだったが、企業業績は堅調な伸びを見せ、企業は設備投資や企業買収のための資金を欲していた。
前年はアゴが所属する資本市場部が獅子奮迅の活躍を見せ、弊社東京オフィスはM&A及び資金調達で史上最高益を達成していた。
そのレピュテーションを背景に、私は株式資本市場部(Equity Capital Market)と連携して企業に資金調達の提案を行っていくことにした。
グローバルに強靭な販売網を持つ我々は、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)やヘッジファンド(HF)などの海外投資家の資金力を背景に、
国内のリテールと法人の基盤を中心とする日系他社を圧倒することができた。
また、アゴは私がニューヨークにいる間に新人たちをしっかりと教育しており、私は多くの優秀な部下と働くことができた。


323:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:30:09.43 ID:urADPsEo
そそ、酵素
人によっては赤くなるじゃ済まずぶっ倒れる

日本はホント煙草ミュニケーションが…

324:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:31:57.83 ID:hMBZfwYo
最初の方と最後の一行しかわからん
銘柄は?

326 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:42:04.44 ID:EttwVf60
>>322
私もよくぶっ倒れてたよ。自分の家で。
タバコ一緒に吸うと、話すしかないからね。そこで色々な話を聞けます。

>>323
ちと話が細かすぎたかな。
銘柄はマイセン。父が吸っていたから、実家を思い出して懐かしくなる。

327 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:42:14.94 ID:EttwVf60
仕事は順調だった。
また、私はカバレッジ・バンカーとなったことで、勤務時間にはかなりの余裕が出るようになっていたため、リクルーティング・チームにも加わった。
私が入社した頃と違い、弊社は日本の学生にも名前を知られる企業へと成長しており、
夏のインターン・シップのための応募だけで、倍率は100倍を超えていた。

私は満足していた。
仕事は順調であったし、景気も良かった。
説明会で学生たちの前に出れば、(誤解を恐れずに言えば)私はとてもちやほやされた。彼らには私が日本のトップ・エリートに見えたことだろう。
急転直下の私の就職活動の話をすると、彼らはやや驚いたような反応を見せた後、羨ましがるのが常だった。
東京オフィスの採用活動は良く組織されており、かつてのようにお偉い方の気まぐれで採用を決めるということは有り得なくなっていた。
学生達は、日本のトップ校のライバルを相手に1000倍を超える倍率の採用プロセスを勝ち抜かなければ、弊社の社員になることが出来なかった。



328 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:43:01.43 ID:EttwVf60
ところが、1年生たちを研修に送り出した8月上旬、不吉な事件が起こる。
仏銀大手、BNPパリバ傘下のファンドが資産を凍結した。
ここから先、何が起こったかは、下記サイトに詳しいので、興味がある方は参照されたい。


やる夫で学ぶサブプライム問題
http://vipvipblogblog.blog119.fc2.com/blog-entry-148.html

やる夫で学ぶサブプライム問題についてちょいとツッコミ
http://blogpal.seesaa.net/article/80629520.html


この頃から、債券を組成しての資金調達(Levaledged Finance)案件は激減していく。
自分の庭で起こった事件では無いこととは言え、提案できるメニューが減ったことで私の仕事は俄かに暇になった。

季節が秋になりかけた頃、泰司から連絡があった。


325:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:38:23.86 ID:W4WgRaUo
>>321
営業でなくなった今も吸ってる?

330:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:46:22.68 ID:VeUw4hwo
>>329
手軽でいいねえ
俺は巻くところから始まるっつーのに・・・

331:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:49:32.56 ID:W4WgRaUo
>>322の1段落目の最終行が何を言いたいのか誰か噛み砕いて口移しplz

>>330
ハッパですね、通報しませんでした

335 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:54:54.53 ID:EttwVf60
>>325
ごはんがまずくなるから吸ってません

>>330
葉巻派は辛いのう

>>331
営業としては、色々なことを提案して収益機会を増やしたい。だからM&Aと資金調達両方を提案できる企業を顧客にするのが普通。
でも私は、資金調達に絞って顧客を開拓した。それは、M&Aに比べて資金調達の方が鞘(取り分)が厚かったからできた。
ということが言いたかったのです。

338:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:55:32.21 ID:Rs/xAlI0
>>331
普通ちっちゃな企業は相手にしないけど、資金調達の案件だったらおいしいから
引き受けてた、ってことではないのか?

341:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 02:58:47.35 ID:Rs/xAlI0
ってか>>1が仕事に没頭してたのって3年くらいだったのか
ってきり8年くらい彼氏も作らず頑張ってたのかと思ったwwww

でも3年でも見違えるように成長したんだろうな

346 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:06:05.27 ID:EttwVf60
>>338
そうですそうです

>>341
根性無しですいません
実際は、8年もいるような人は男性とっかえひっかえです。仕事が出来る人は恋愛も達者です


みんな葉巻と葉っぱが好きなんだね

336 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 02:54:57.30 ID:EttwVf60
1「もしもし?」
泰「おー生きてるか?」
1「生きてるに決まってるじゃない!半年ぶりの電話がそれ?」
泰「なんだよ・・・お前の3年ぶりの電話だって、褒められたもんじゃなかったぞ」
1「可愛かったでしょ?で、最近どうしてるの?ちゃんと食べてるの?」
泰「ああ、最近ウマいラーメン屋が・・・いや、そんな話をしたいんじゃないんだけど」
1「何よ。まさか風俗じゃないでしょうね?」
泰「俺、帰朝することになったんだ」
1「え!?留学は2年でしょ?」
泰「その予定だったんだけど、ちょっと事情があって、帰らなくちゃいけなくなった。
  専攻はIR(International Relation)に変えてたから、ドクターコース1年修了ってことで、マスターはなんとか取れた。」
1「そ、そう。。。いつ帰ってくるの?」
泰「実は明後日なんだ。土曜だから、お前仕事無いよな?うちの実家に飯食いに来いよ」
1「あ、明後日!?なんでもっと早う言わんと!?いや、ていうか、実家って、、、」
泰「どうせお前忙しいから、前もって言っても直前に言っても同じだろ?だったら意外性がある方がいいかなと思って」


347 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:06:09.94 ID:EttwVf60
もうどこから突っ込んだら良いか分からないが、時間が無い。分かったとしか言えない。学生時代からいつもそうだ。

1「分かったよ。。。じゃあ着いたら電話してね」
泰「おう、迎えに来てくれよ。成田に13時着だから。じゃあな」

電話を切ってから思わずため息をついてしまう。迎えに行くなら、明日は禁酒か。。。
いや、それよりも、彼の実家に行って何を話せばいいのか?息子さんをくださいって?何か違う気がする。
あーあ、なんでいつもこうなるんだか。

357 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:16:33.98 ID:EttwVf60
土曜の朝、9時に起きて、お風呂に入って化粧をして車に乗り、成田に向かう。
道は空いていたが、駐車場をすぐには見つけることができず、12時半に到着。国際線のゲートの前で彼を待つ。

彼が来るまで私は色々なことを考える。
ちゃんと食べていただろうか。向こうにいる間は私がずっと料理をしていた。やせたりしてはいないだろうか。
勉強もきちんとしていたのだろうか。国費で行っているのだから、何がしかを学んできていて欲しい。
学生生活は楽しめただろうか。英語があまり得意でなかったから、友達が作れていたのかどうか心配だ。
そして風俗に行ったりしてはいないだろうか。アメリカでは風俗は法規制が厳しいからとかそういうのはどうでも良くてもし行っていたら泣きたいけれどせめて私には内緒にしていて欲しいけどたぶん行っていたら楽しそうに喋るんだろうなあ。そして私はいつも反応に困るのだ。

そうこうしているうちに彼が現れた・・・となんと!
彼はでっぷり太って、ヒッピーのような格好をし、トランクには種々の落書きが書き込まれていた。

(こん人が悪食でだらしなかことば忘れとったっちゃ。。。)


358 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:16:52.98 ID:EttwVf60
帰りの車で色々なことを聞いた。
風俗以外は私の想像を見事に裏切って、楽しい生活をしていたようだ。彼が楽しそうに話す。

1「ずいぶん楽しんでたのねー、私が働いている間にー」
泰「でも、俺お前が怒ると思ったから、ナタリーとは寝なかったんだぜ」
1「。。。!? ナタリーって誰?」
泰「! いや、あの、ネロの女の子だよ、ほら」
1「それはリズでしょおおおおがあああああ!!この浮気者!!!」

高速で私は左手で運転しながら裏拳を見舞おうとしたが、彼まで届かない。
また殴ろうとすると彼がくすぐってきて、運転が乱れる。
私はしばし運転に集中し、彼の実家の家の前まで着てから腰の入ったビンタをくれた。


368:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 03:34:11.84 ID:ObzPnMDO
なんだ付き合ってたのか

370 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:38:44.65 ID:EttwVf60
>>368
あ、そうです。一応ステーキを食べに行った日の晩に付き合いました。

371 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:39:10.29 ID:EttwVf60
彼の実家は東京の奥地の方だった。
学生時代の彼の実家は、都内のマンションだったが、親が退職して家を買ったらしい。
家に入ると、彼の寮の部屋とは打って変わって、キレイな家だった。
玄関の靴はきちんと並べられ、檜の香りが鼻をくすぐり、リビングには彼によく似たお母さんがいた。
お母さんがお父さんと弟を呼びに行く。お母さんと会うのは5年ぶりだが、お父さんは初めてで、弟くんは一度顔を会わせた程度だった。

一同集まり、おでんをつつくことになった。
彼の家族らしい。私一人が加わったところで、普段通りの食卓を変えることは無いらしい。
私としては、もう少し緊張した場を想像していたのに。

388 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:54:47.93 ID:EttwVf60
父「で、今日は泊まっていくのか?あ、1さん、そこのガンモ取ってください」
1「あ、は、はい(取り分ける」
泰「あ、1に寮まで送ってもらうよ」
1「(は!?北区までこれから送るわけ!?)」
母「あなた図々しいんじゃないの?1さんだって忙しいわよね?」
1「(ここで忙しいなんて言えないじゃない。。。)
  いえ、明日はオフですので。」
父「ふむ。じゃあうちに送りつけた教科書とか、持って帰れよ」
弟「あと俺に送ってきたHな本もな。大学生なんだからあんなのいらねーよ」
1「(そんなの買ってたの?ていうかなんで弟に送っとーとー。。。)」
泰「分かったよー。あ、1、そこの卵確保な」
1「はいはい」
弟「1さん、俺にもちょうだい」
1「はいはいはい!」

389 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:55:24.68 ID:EttwVf60
そうして、私に対する質問などは特に無く、2時間を溶かし、お母さんと後片付けをしてお茶をしたらもう10時を回っていた。
お母さん以外は泰司が3人いるような家だった。姑しか味方がいない家に嫁いでもいいのだろうか。
彼はさっさとスニーカーを履き、外に出る。

泰「1、車で待ってるから鍵貸してくれ!」
1「はいはい」
母「1さん、ちょっとちょっと」
1「はい?」
母「あの子、あんなにだらしないけど、宜しくお願いします。
  学生のときから、よくあなたの話をしていたの。
  夫もあなたの話を聞いて、とても良く思っているみたい。あの人も不器用だから、許してちょうだいね。
  あなたのようなお嫁さんが来てくれたら私も嬉しいわ。ずっと女の子が欲しいと思っていたの。一緒に買い物とか行きましょうね」

彼の父の厳しさはよく知っている。昔、彼が背の低い女の子と付き合っていた頃、「孫の体格が悪くなるから別れろ」とまで言った人だ。
その人に私のどこが気に入られたのだろう。身長だろうか。
ともあれ、家族には気に入られたようだ。お母さんに挨拶をして家を出ようとした頃、弟くんが私を追っかけてきた。


390 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 03:55:35.00 ID:EttwVf60
弟「1さん、ちょっとちょっと!」
1「なあに、弟くん?」
弟「あいつ、ああ見えて、1さんにぞっこんなんだぜ」
1「どうして分かるの?」
弟「だって、エロ本送ってきたとき、『1に罪悪感沸くから使えないわ』って言って送ってきたんだぜ
  太った黒人しか載ってない不気味なのだったから、俺はすぐに捨てたけどね。
  あと、俺も1さんみたいな姉さんできたら嬉しいよ。俺キャリア・ウーマン大好きだからたくさん合コンやってくれよ!」

罪悪感の種類が、私に対する想いなのか、太った黒人と私を比べることのそれなのかは、判然としなかったが、
何となく人並みの貞操観が彼に身に付きあることを確認できて安心した。
そうして私は弟くんのヒモ根性が心配になりつつも、彼を寮まで送っていった。


384:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 03:52:06.47 ID:Rs/xAlI0
>>381
え、>>1の会社書いてあった??

385:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 03:53:07.78 ID:urADPsEo
>>384
判る人には判るって事だろ
FAKEに釣られてるんでなければなww

391:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 03:55:45.83 ID:LNoBSIDO
>>384
会社名は出してないけど、ヒントはいっぱいある

つまりそういう事

395 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 04:06:20.54 ID:EttwVf60
>>385, >>391
読む人が読めば色々と突っ込みたくなる仕掛けも入れています

396 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 04:06:37.07 ID:EttwVf60
1「で、今度はどこで働くの?」
泰「分からない。最初は主税か主計の原課かと思ってたけど、税務署になるかも。」
1「なんでそんなにイレギュラーなのよ。普通は1年勤務でしょ?」
泰「・・・先輩が亡くなったんだ。秘書課が穴を埋めるのに困ってる」
1「!! 。。。そう」

彼の職場は人がよく死ぬ。その昔は「自殺の@@」と呼ばれたほどだ。
職場の中庭には、鉄格子がはまっている。飛び降り自殺があまりにも多かったからだ。
仮眠室の俗称は「霊安室」。帰宅できずに休んでいる人が、まるで死んでいるように見えるからだと言う。
彼らは文字通り闘っていた。同級生の誰よりも低い給料で、誰よりも長い時間を働き、明日の日本を支えていた。

397 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 04:07:13.88 ID:EttwVf60
1「。。。転職とかは考えないの?」
泰「なんでだよ?」
1「あんな仕事続けてもらいたくないのよ!」
泰「俺は大丈夫だよ」
1「どこがよ!?これで貴方から同僚が死んだって話聞くの、三度目よ!?」
泰「大丈夫だって俺が言ってるのに、信じられないのか?」
1「そんなカッコつけたってダメよ!」
泰「なあ1。確かに大丈夫じゃないかもしれないよ。
  でもお前は、毎日つまらなそうに帰ってくる俺と、楽しく過ごせるか?飲みに行けるか?」
1「、、、それは。。。」
泰「俺達はまだ若い。燃えるように生きてみたっていいんじゃないか?
  俺だってお前に仕事を辞めろなんて言う気は無いし、俺も仕事を辞める気は無い。
  子供をお前が産むなら、俺が育休を取る。家事も折半にしよう。俺の料理もなかなかイケると思うぜ」
1「(その自称イケる料理がとんでもないから、毎日私が作ってたんじゃないの!)
  。。。体には気をつけてよ」
泰「ああ、分かってるさ」

いつもは強引なくせに、彼は俺について来いとは言ってくれないのだ。
正直、彼の妻に、子供の母になれるのなら、仕事なんて今この瞬間放り出したって構わないとすら思っていた。
しかし、私のその気持ちだけは、彼はついぞ気づくことは無かった。
そして、寮に着いた。

399 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 04:09:36.26 ID:EttwVf60
寮は築ウン十年で、現在の事務次官もその昔住んでいたという伝統溢れる、いや溢れすぎてもう倒れそうな寮だ。
大学の寮が老朽化を理由に私たちの在学中に取り壊されたが、この寮はそれを一枚も二枚も上回る崖っぷちっぷりだ。

1「これは、、、毎度思うけど、いつ見てもすごいわね」
泰「まー眠りに帰るだけだからな。それでも風呂がキレイならまだ我慢できるんだが」
1「どういうこと?」
泰「時間帯を見誤ると、垢が浮いてて入れたもんじゃない」
1「汚いわねー。。。それならうちに泊まりに来ればいいじゃない?」
泰「そりゃダメだ」
1「なんでよ?」
泰「お前、マスコミにでも見つかってみろよ?何て書かれるか分からないよ。
  それに、お前が住んでるようなところで暮らしたら、『国民の目線』とか言えなくなるからな。
  今この清貧に耐えることが、俺の将来をより価値あるものにするのさ」
1「。。。」
泰「なんだよ?惚れ直したか?」
1「私、チーズケーキを焼いて待ってるって言ったじゃない。。。」
泰「まあそれは結婚して、世田谷の宿舎に移ったときにでも食わせてくれよ」
1「。。。うわーーーーーーーーーん!!!」

その後、私はまたひとしきり泣いて暴れて彼を困らせた後、スッキリして愛車を自宅に走らせた。
その夜は、よく眠れた。


411:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 15:11:24.17 ID:8hg8KJc0
泰司みたいな友達欲しいわwwwwww

427 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 22:42:28.69 ID:EttwVf60
みなさん、お待たせ致しました。
今日は会社と色々交渉してきました。会社を辞めるって大変なんですね。
それでは今日も投下していきたいと思います。


>>411
ありがとう。彼も喜ぶと思う

412:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 17:20:23.81 ID:ObzPnMDO
風俗禁止してたのに風俗行っておまけに浮気してたのか
よく修羅場にならなかったな

413:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 17:24:21.34 ID:hMBZfwYo
1は泰司にベタボレと思われる

泰司の職場が大丈夫でないことがやばいな

414:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 17:48:19.96 ID:vzWQXkDO
お寿司墓穴掘るなww

415:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 18:34:23.99 ID:WmvS4AYo
>>1さんおかえりなさい。
やはりあなたの文章はとても読みごたえがあり面白い。


読んでいて少し頭をよぎったんだが、
今夜の話の展開が鬱なものにならないといいな。

416:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 18:51:47.04 ID:8hg8KJc0
>>415
もしや君も・・・感じたのか?

417:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 18:55:51.32 ID:hMBZfwYo
>>416
僕も感じたんですが…

418:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 18:59:52.17 ID:zBXk.2.o
このスレにはニュータイプが多いな・・・

428 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 22:47:34.89 ID:EttwVf60
>>412
風俗じゃなくて同級生だったみたい
向こうは風俗無いからね、たぶん

>>413
大丈夫。霞ヶ関の意向で省内の人事が左右されることは無い。

>>414
そういう人なんです

>>415-418
もう少し、付き合ってくれると嬉しい


432 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 23:09:09.01 ID:EttwVf60
秋も深まる頃、彼の配属が決まった。秋田の税務署長である。
またしばらく会えないなとも思ったが、昔は3年も待ったのだ。1年やそこら、すぐに経つ。そう思っていた。

時を同じくして、採用活動が本格化し、市況も若干上向いてきた。
仕事も忙しくなり、合間を縫って私は説明会に参加していた。
毎回、多くの学生が参加しており、私はただ自分の就職活動のときと比べて驚いていた。
当時、夏を過ぎた時点で既に内定を持っているという学生が何人もいた。3年生の夏の時点で、である。
その内定先には同業の会社も含まれていたばかりか、日本の会社も含まれていた。
同業者は青田買いをするためにどれだけ早く採用を決定していても驚かないのだが、日本の会社まで就職協定を破ってくるとは。
それほどに、2007年の採用活動は熾烈を極めていた。優秀な学生の確保は、採用担当者として至上命題であった。

私は投資銀行部門に所属していたので、基本的には投資銀行部門のことしか話せない。
と言うのも、知識として知ってはいても、実務としては知ってない部分もあれば、私が話すということが職務責任上好ましくないということもあった。
そこで、私は、株式部について詳しく話を聞きたいという学生がいると、達也を紹介することで対応していた。
彼はいつも、快く対応してくれた。

435 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 23:17:47.37 ID:EttwVf60
そんな経緯から、私は彼とやり取りをすることが増えていった。
最初の頃は、他の新人と一緒に飲みに行ったりすることが多かったが、
あるとき彼に相談があると言われて乃木坂のバーに行くと彼は一人で飲んでいた。大分、酔っていた。

1「遅れてごめんね」
達「いえ、今来たところです」
1「(嘘ばつくの下手やんねー)
  そう、それで、悩みって、どうしたの? アゴがうるさいの?」

アゴは投資銀行部内の株式資本市場部に所属していたので、常に株式部と連携して仕事をしていた。
そして達也はアゴが見所があると認めたのか、大分可愛がられているようだった。
誰しも通る道だが、先輩のしごきについて、好悪の感情を判別することは新人にはとても難しい。
余談だが、アゴは私がニューヨークに行っていた1年間に、某大手企業の上場主幹事案件を取りまとめたり
大規模な資金調達をまとめるなどして頭角を現しており、この頃には上司の密命を受けて、
某元政府系機関の上場に向けて様々なシミュレーションを行っていた。そのシミュレーションに達也は駆り出されていた。
今でもこの上司のことを思うと、アゴが気の毒でたまらない。
彼がこの密命のために、輝かしいキャリアを棒に振ったことは既に述べた。

438 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 23:24:33.53 ID:EttwVf60
達「いえ、そんなことじゃないです。あの人は凄く論理的ですし、たくさん勉強させてもらってます」
1「へえ、人気あるのね、あいつ」
達「性格は少し変わってますけど、優秀ですし、面倒見良いですから」
1「ふうん。それなら何なの?」
達「実は好きな人が出来たんですけど・・・」
1「げ、まさか学生じゃないよね?」
達「違います。1さんが紹介された学生さんにはきちんと対応してますけど、別に何も無いです」
1「良かった。もしやるにしても、問題が起きないようにちゃんと付き合って、かつバレないようにしてね。
  で、どんな人なの?」
達「同業です」
1「へえ、、、どこの人?」
達「うちの人です」
1「あー、、、そうなんだ。じゃあちょっと相談には乗れないかな」
達「! 何でですか!?」
1「私、知らなくていいことは聞かないようにしてるんだ。聞けば聞くだけ、リスクを抱えるからね。
  聞かなかったことにするから、社内の人とは隠密裏に付き合いなさい。いい?」
達「・・・分かりました」

434:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 23:16:35.21 ID:Rs/xAlI0
あのさー、全然話と関係なくてほんと申し訳ないんだけどさ
就職活動中外資の面接とかで
「今100万円あります。5年間でできるだけ増やすのならあなたはどうしますか?」
って質問結構あったんだけどさ、>>1ならなんて答える??

437:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 23:23:33.64 ID:unKmd0Eo
おっ今日も>>1来てるね

440:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 23:26:01.16 ID:urADPsEo
達の好きな相手=>>1ですね 判ります><

441:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 23:29:57.29 ID:hMBZfwYo
やさしい+鈍感=罪

442 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 23:34:54.72 ID:EttwVf60
>>434
「おたくに入って莫大なボーナスがもらえるパフォーマンスが出せるように、自分に投資します」って答える。
そこで株が云々とか答えさせようとは思ってないと思うよ。基本的に素直に答えるしかない。

>>437
来ちゃった

>>440
あれがそうだとしたら彼は相当女に慣れてない

>>441
なんとでもおっしゃい

443 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/24(火) 23:37:07.92 ID:EttwVf60
なんだか歯切れの悪い言い方。いつもこの子はそうだ。
他の人にとっての彼の印象は、自信家で快活だと聞いているのだが、こと私にとってはその逆だ。
なんだか心配になってしまう。

1「まー良かろう。話してみんしゃい」
達「良いんですか? ・・・ていうか、なんですかその訛り?」
1「細かいことはいいから、話してみなさい。私も今日限りで忘れるから」
達「えっとですね・・・」

おもむろに彼は話し始めた。私は彼と酔いのペースを合わせる為に、シェリー酒を2本ほど横に置きながら話を聞いた。
彼の弁によれば、意中の人は他部門の上司で、面倒見が良く、快活に良く笑う人なのだが、どこか抜けているのだと言う。
私は、後輩を相手にガハガハ笑っているアゴを思い浮かべて、こりゃ聞かない方が良かったかなと後悔し始めた。
相手の予想がついたところで、話を聞く必要はもう無いと思った私は、シェリー酒を終えてキャビアとウォッカを注文した。
彼はなおも話す。


445:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 23:42:00.83 ID:ObzPnMDO
同級生と浮気してたのかよ。いいの?

446:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/24(火) 23:42:51.86 ID:hMBZfwYo
話が進みすぎて最初のvipスレで1がどんなキャラだったか思い出せんww

447:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:00:07.05 ID:Lo/KdmU0
>「おたくに入って莫大なボーナスがもらえるパフォーマンスが出せるように、自分に投資します」

そんなかっこいい事言えないよwwwwそれに社員から見たらそういう高飛車な発言嫌われるかなーって。
でもそんぐらい自信持ってないとやってけないのかな??

449 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 00:07:07.06 ID:424vGWM0
>>445
どうせ大したことしてないからいい

>>446
思えば長い付き合いになってしまった。。。つき合わせてすまない

>>447
あ、高飛車かな?でもそれで落とされたら仕方ないさ。
自信は別に要らないと思うけど、、、っていうか、こういう人が欲しい!っていうイメージは明確には無いよ。
本当に、あくまで印象で決めてるから、素直に受けるのが大事。落とすときって最初の30秒くらいで決めてるから。

456:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:23:12.15 ID:Lo/KdmU0
そっかあできる人はそう返すんだな。
俺はそれ聞かれた時、グループだったんだが
1人目 ヘッジファンドに投資するのがいいと思う
2   やっぱ不動産でしょ
3   開発途上国の国債は熱い!!
4   御社に預けますwwww
俺   ギャンブルやって増やします。すったら寝ずに必死に働きますwwwwwwふひwwwwww

って答えたwwww
もちろん落ちたwwwwwwww

457:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:30:09.28 ID:yW9M1L20
>>456
俺はお前のような奴好きだけどなwwwwww

463:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:51:47.24 ID:lhYbOrko
つまり全部1円玉にして重さを増やしますとでも答えとけばいいのか?

464:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:52:05.51 ID:dfvjYnUo
>>456
それ全員落ちたんじゃないか?wwwwww
ヘッジファンドに100万はネタだろうし、不動産は落ち目だし、発展途上国の国債はリスクが・・・
4と俺君は問題外だろうがwwwwww

これはやっぱりリスクの大きい事を挙げたらアウトだと思う。

450 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 00:07:15.31 ID:424vGWM0
達「あの、1さんは付き合ってる人とかいるんですか?」
1「んーまあ、手間のかかるのを一匹飼ってるよ。いっつもフラっと家出しちゃって、帰ってこないけど」
達「それって、犬か何かですか?」
1「そんなとこだね」

決して嘘は言っていない。私はプライベートを明かさないのがポリシーだ。

達「そうですか・・・」

私の受け答えに彼は不満だったようで、更に酒をあおる。私は私で、キャビアのコクとウォッカのキツさを楽しむ。
20分ほど、私たちは無言で飲んでいた。キャビアうめー
と、隣で彼がイスから落ちた。下に目をやると、顔を真っ赤にして眉根をひそめる彼の姿が。

(こりゃまずったな・・・)


458 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 00:32:46.52 ID:424vGWM0
時間は朝5時で、店はもう閉まる。会計を済ませて、彼の持ち物をまさぐる。家の場所を知るためだ。
免許証を見つけた。住所は大阪。ダメだ、実家だ。
携帯電話の電源を入れようとする。電源切れてる。ちゃんと充電しとけ。
家の場所は分からなかった。

起こそうとするが、起きない。そのまま置き去りはさすがにかわいそうだが、どうしようか。

(しょうがない、私の家に搬入するか。)

幸い、彼は小柄だったので、店の人に手伝ってもらって彼を背負う。めちゃめちゃ重たい。私の靴は脱いで、かばんに入れた。
タクシーを止めてもらい、家まで走った。こっちも酔いが回っているので、非常に辛い。
家の前まで着くと、タクシーの運転手さんに手伝ってもらって、彼を家の中に入れ、リビングに寝かせた。
水をグラスに入れて、飲ませようとする。だが、飲まない。私は彼をそのままにしてシャワーを浴びることにした。


453:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:17:56.59 ID:VgyX92U0
ちょっと眠れなくれスレ開いたら>>1と遭遇。ktkr
ライブで見るのは久々だ。

>>447
俺は一応技術系なんだが、今なら>>1みたいに応えるなあ。
まあ「自分のスキルアップに投資します」
って一言いうのがせいぜいだがww。

学生当時だったら、、、定期預金しますって応えそうww

454:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:19:20.66 ID:dfvjYnUo
>>1はこれから何か希望の職種とかあるの?
余談だが、部門から考えて弁護士資格さえあれば、>>1は企業弁護士として物凄く需要ある人材だよな。
それとなんで学部は、法じゃなく経済なの?

簡単でいいから答えてもらえるとうれしい

455:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:21:38.64 ID:iUFXdwDO
浮気で違う女とセックスされるぐらいじゃ動じないの?

462 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 00:49:56.74 ID:424vGWM0
なんだか異常に重たくてなかなか書き込めない。。。

>>451
あまり人を好きにならないので、良く分からない。

>>453
私も学生だったらそう言うww
学生のときに100万なんて持ったこと無いんだから、使い道聞くのもナンセンスだよね。
人間は自分の身の丈に合った事しか考えられないものだし、無駄な背伸びは危ういよ。

>>454
質問ありがとう。
今はまだはっきりとは考えられてない。
弁護士資格は持っていないので、ロー・スクールに行かないといけない。でも年も行き過ぎてるから、出ても就職先があるかどうか。
大手の渉外事務所は、学部東大でストレート東大ローの人ばかりで、早慶ローだとかなり珍しい感じがする。

で、学部を経済にしたのはその昔高校の先生に
「日本の経済学の水準は低い。ノーベル経済学賞もまだ出ていない」
と聞いたので、じゃあ自分がやってみようか、と思ったのれす アホですいません

>>455
まあ、したいならすれば?って感じ

465 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 00:52:49.13 ID:424vGWM0
水を大量に飲んでトイレで用を足し、シャワーを浴び、浴槽に入る。
たくさん飲んだときのいつもの作業をして、パックをして、ヘアパックもして、ゆっくり半身浴をする。
時事放談を見る。休日の朝早くからこんな時間に出演するなんて、政治家も大変だなと思う。
全てを終えて浴室から出る頃には、酔いは大方冷めている。むしろ血行が良くなった気がする。

タオルで髪をまとめ、バスローブを着、化粧水で顔をマッサージしながら、達也の様子を見に行く。
水は空になっていたから、飲んだのだろう。
秋の朝は冷える。私はブラケットを取り出し、ソファの前で膝をつき、彼にささやいた。

(シャワーを浴びるなら、タオル使ったあと洗濯機に入れておいてね)

ブラケットをかけ、彼が頷いたのを視認した後、私は寝室に向かおうとしたが、いきなり視界がフローリングに支配された。
達也が上に乗っている。

466:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:56:39.77 ID:ilUxWZUo
ああ、やっぱりこの展開

467:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:57:23.73 ID:yW9M1L20
達也は全て計算してた!?

469:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:58:57.09 ID:LjAHvHUo
家についた頃には酔いがさめてたと見た

472:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:04:14.15 ID:VbRTZiIo
これが孔明ってやつか

473 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 01:04:36.66 ID:424vGWM0
1「ちょっと、何すんのよ!」
達「・・・」

達也の息遣いが聞こえる。まずい、私は風呂上りで裸だ。
酔っ払いと床に挟まれ、暑い。床暖房強すぎたな。圧迫されて胸痛いよう。
などといつもの癖で本題と関係無いことを考えてしまう。ちょっと待て、それどころではない。

1「ねえ、聞いてるの!?どきなさいってば!」
達「・・・やっぱり彼氏いないんですね。この部屋、全然男がいる感じがしない」
1「そんなのあなたに関係な。。。!! あなた酔い冷めてたのね!酔った振りなんてして、何のつもりよ!」
達「1さん、今付き合ってる人いないんでしょ?だったら僕と付き合ってくださいよ!」

達也はまだどかない。まずいまずいまずい

464:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:52:05.51 ID:dfvjYnUo
>>456
それ全員落ちたんじゃないか?wwwwww
ヘッジファンドに100万はネタだろうし、不動産は落ち目だし、発展途上国の国債はリスクが・・・
4と俺君は問題外だろうがwwwwww

これはやっぱりリスクの大きい事を挙げたらアウトだと思う。

468:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 00:58:32.26 ID:VnmZIR20
テレビ以外で家でバスローブ着る人って日本にいたんだ!すごい!

480 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 01:09:34.33 ID:424vGWM0
>>464
いや、そんなこと無いと思うよ。
めちゃくちゃでもいいんだよ。ちゃんと考えたんだなってことが分かれば。
モノは言いようですよ。

>>468
裸で寝る人は割とそうしてるんじゃない?

481 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 01:16:23.21 ID:424vGWM0
バスローブを死守しようと両手でガードしていたら、私は体を転がされ、仰向けになってしまった。
完全なマウント・ポジションになってしまった。これは絶望的だ。
酒がまだ完全に抜けていない。力が入らない。頭もボーっとする。ふと、1年生の頃にボブとのやり取りを思い出してしまった。
涙がこぼれた。顔を見られたくないので、顔を両手で隠す。

1「ひっく、、、ひっく」
達「1さん?」
1「いいわよ、そんなにしたいならしなさいよ。でも一生許さないから。訴えたり、嫌がらせしたり、、、会社にいられなくしてやるわ」
達「そんな・・・僕の気持ちは分かってたでしょう!?」
1「知るもんですか、この卑怯者!女の腐ったようなこと言ってんじゃないわよ!
  なんで勝手に脳内で私の気持ち補完してんのよ!本人にしっかり確かめないでこんなことしてるのは、自信が無い証拠よ!」
達「!!!」
1「だいたい、なんなのあなた!?酔ってないなら、ちゃんと歩いて帰りなさいよ!
  会計はいいとして、私あなたをおぶってここまで運んで、大変だったのよ!?タクシーの運転手さんにも謝りなさいよ!
  靴脱いだから、足だってボロボロよ!お手入れ大変なんだから!あなたが角質取ってくれるのかしら!?
  くぁww背drftgyふじこあwwせdrftyふじこ!!」

口だけは酔いが奏功して、滑らかだった。しかし敵はなおも侵攻の手を緩めない。

475:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:05:54.25 ID:iUFXdwDO
>>468
キングカズと舘ひろしをなめるなよ

477:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:07:39.11 ID:iUFXdwDO
てか襲われすぎだな。襲いやすそうなのかな

478:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:07:55.15 ID:ES/Dd3Uo
なんつーか、そういう告白の仕方でおkしてもらえると思える神経がわからん。

486:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:20:23.74 ID:b0bSGwco
>>480
フジテレビの面接に上下真っ白のスーツで来た応募者
「なんでそんな格好なの」
「御社の色にそまりたいからです」
内定!

(´・∀・`)ヘー


つーか裸族なめないでwwww
何も着ないで寝るからww

490 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 01:26:41.91 ID:424vGWM0
>>475
舘ひろし大好き!

>>477
なんか昔からやたらとチカンとかに会うたちだった

>>478
強引な奴は結構多い

>>486
ベッドに入るときに裸になります。ローブは毎日洗濯します

482:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:19:20.09 ID:ilUxWZUo
達也が卑怯なのは同意するが・・・男の子はデリケートなんですww

484:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:19:22.54 ID:yW9M1L20
行動といい、言動といい、第二のボブだなこりゃwwwwww

487:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:21:25.87 ID:VgyX92Uo
達也氏ね。
今日のところは氏ねで勘弁してやる。

489:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:26:00.46 ID:lhYbOrko
ガードが緩いのか単に鈍いのか…

495 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 01:31:51.11 ID:424vGWM0
彼は手際よく自分の荷物をまとめ、脱いだスーツを着、玄関から出て行った。
私は何が起こったのか分からなかったが、とにかく危機が去ったことだけは理解した。
恐ろしさがぶり返してきて、少し泣きそうになったが、
こんなことになったのも一緒に住んでくれないあいつのせいだと思うと怒りがこみ上げてきた。
いや、同居していても、気づかず寝ているかもしれない。怒りのエネルギーが増す。

電話をかける。出ない。留守電になる。

「あんたがチンタラやってるから今日犯されかけたわよ!この甲斐性無しが!早う東京戻って来んかい!」

絶叫して、迎え酒にチューハイを一気飲みして、私は寝た。

翌日、昼ごろ起きると、着信14件。私は、しばらく放置しておくことにした。だって、たまには心配させたいし。
晩になってお母さんから電話がかかってきて、さすがに出た。お母さんポイントが減点されたと思って、軽く後悔した。


499:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:41:03.77 ID:Jy.vKTwo
しょせん男女は判り合うのは難しい
だからこそ強引に押すにしても
相手がガチで嫌な場合逃げれるルートを
用意してないのは駄目だよな

500:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:43:28.16 ID:ilUxWZUo
達也がそこで帰ったのはいやがらせが怖かったのかそれとも・・・

501:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 01:45:53.36 ID:xvIY3cAO
無事で良かったな
めっちゃドキがむねむねしたぜww

502 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 01:46:17.58 ID:424vGWM0
また、達也からも謝罪のメールが入っているのをブラック・ベリーで確認した。
まったく、とんでもないヤローだったと思って、返信はしなかった。しばらく苦しむがいいわ!

その後、叙々苑でばったり出くわした勝也くんから話を聞いたところでは、
昔達也くんの彼女を彼が寝取ったときに、ひどく落ち込んでうつ病のようになってしまったとか。
私にかつての自分の彼女を重ねたのだろうか。が、違いは彼女は拒まず、私は拒んだ。私GJ。
つくづく、最近の若者は自分勝手だと、自分と自分の相方を棚に上げて思った私であった。


512:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 02:04:53.86 ID:Jy.vKTwo
良くも悪くも周囲を押しのけてでも自分の利益を優先するパワフルさがあるな

513 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 02:09:42.81 ID:424vGWM0
>>512
どう考えても悪い

514 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 02:11:15.17 ID:424vGWM0
季節は冬になり、私は2007年のバジェット(目標収益)を無事達成していた。
パリバショック以降、投資家の購買意欲は冷え込んでいたが、依然として邦銀大手や農林中金、大手生損保等の投資家郡の資金余力は底堅く、
発行株式は毎回必ず売り切ることができたので、私は資金を必要として企業に当たりをつけてアゴに執行を頼むだけで収益をあげることができた。
当時の日本の業界関係者は、一部を除き、米国で起きつつあった信用収縮については対岸の火事と考えていた。

アゴは2007年いっぱいをかけてある大規模新規株式公開の案件に取り組んでおり、弊社は彼の尽力により、
IR(Investor Relation)ミーティングのアレンジャーに指名された。
IRミーティングとは、世界中の投資家に
「今度うちの株式を公開するから買って頂戴ね。何か質問があったら答えるし、注文があったら検討して今後の事業に反映させます。よろしくね」
と言って回るイベントのことを指す。
ドメスティックな日本企業にとっては、これは非常にハードルが高い。英語で世界の百戦錬磨の投資家と渡り合わなければならない。
そこで、外資系の証券会社の出番である。我々は彼らに付き添い、アドバイスをしながら、時には代わりに応答し、来る株式公開の成功率を高める。

アゴはほぼ一人でこの案件を回していた。誰にも手は出させなかった。それが彼自身の意思だったのか、上司の指令だったのかは分からない。
いや、おそらくは両方だろう。
アゴは優秀だったし、仕事熱心だった。ただ、惜しむらくは社内に味方がいなかった。
全てのお膳立てをして、3日後にIRミーティングのために渡米することになっていた日の夕方、彼は解雇された。
それがどのような事情によるものだったのかは、既に述べた。ミーティングにはこの上司が一人で同行した。
弊社は、この案件の米国での発行株式売出を独占することができた。上司には莫大なボーナスが支払われた。


516:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 02:13:49.91 ID:wMAfd8.P
アゴ。。。

517 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 02:14:50.86 ID:424vGWM0
私は少なからずショックを受けた。ジュニア達の動揺も激しかった。
私にとってアゴは同期だったし、ジュニア達にとっては恐ろしくも頼りになる調教師であった。
それがあっさりクビを刎ねられたことで、資本市場部に在籍することのリスクが飛躍的に高まった。
あの上司に目をつけられると、飼い殺しになる。そんな雰囲気がオフィスを支配した。

この上司を修造と呼ぼう。
修造は、アゴの尽力により、既にMDにまで上り詰めていた。
上層部ともある関係を持っていたので、政権の足固めは順調だった。
今から思えば、修造は景気の先行きについてかなり悲観的な見通しを持っていたのだろう。
もし、部署が解散に近い整理解雇の波を受けるなら、経営陣としては、給料も高く実務能力に欠ける修造をまず解雇するだろう。
そしてアゴのような、給料も安く、若くて何でもやるような便利な人間を残すだろう。
しかしそのような人材が枯渇していればどうか。
会社としては修造を残し、若者を実働部隊として機能させることを選択させるだろう。
彼は自らの生き残りをかけて、保険のためにアゴを自分の部署に置いていたのだろうか。
実際は、修造の予想は正しかったが、思い通りにはいかなかった。修造が思っていたよりも、景気の下振れは大きかったのだ。


521 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 02:25:52.18 ID:424vGWM0
ここで少し時計の針を戻そう。12月の上旬になり、国内の新卒採用も大詰めを迎えていた。
私のいた部門の採用は、Webでのエントリーシート提出に始まり、Webテスト、グループ・ディスカッション、グループ面接を経て、
数日間のワークショップを行い、個人面接を重ね、最後は個人面接の担当者全員と1日で面接をし、採否が決定される。
幾千もの履歴書が集まる中、個人面接の段階にまで進める人間はたったの20人ほどである。
しっかりと評価をしてもらえる段階に進むまでに数百倍の倍率があるために、採用には運が大きく絡む。

そのため、学生は生き残りをかけて必死になる。
ある学生は手紙を書き、ある学生は社員と恋仲になり、
またある者は本選に漏れたあと、ボストンで行われるキャリア・フォーラムに参加すべく渡米するなどした。

しかし、こちらとてふんぞり返って待っているわけではない。
優秀な学生を確保すべく、文字通り東西南北の大学やセミナーに参加し、学生の雰囲気やニーズを掴む。
特に優秀と認められた学生については、選考途中であっても、頻繁に食事などに誘い、囲い込みを行う。
一部の学生はそれを私情によるものと勘違いして面倒なことになったりするのだが、そうしたことにも会社は一切関知しない。
私は、忙しかった。


522:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 02:27:08.53 ID:zC.n6aoo
1が入社した時に言われた言葉通りじゃないか
金に溺れた奴って事でしょ

こんな仕事一生食っていける仕事じゃないし
後は野となれ山となれ
人は未来があるから頑張れる

524:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 02:30:53.27 ID:TKTL4bIo
>文字通り東西南北の大学やセミナーに参加し

おそらく旧帝+東工一橋+早慶上智くらいだろ?

527:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 02:34:07.55 ID:cSpvk.6o
重いなー

>>524
1の業界を甘く見ない方が良いと思うww
東西南北と言ったらほんとにその通りに回ってくる変態どもの集まりだからな

531:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 02:52:35.22 ID:cSpvk.6o
質問なんだけど、1がvipperになった経緯って出てる?
1の大学のネラー率がかなり高いのは調査済みなんで驚くことではないけれども

534 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 02:56:35.75 ID:424vGWM0
>>522
実際はそんなドラマティックじゃない。
金に溺れるっていうよりは、現状維持に必死になるんだよ

>>524
いえ、女子大とかも行きます。
フロントではそのへんがターゲット校ですが、他部門では特に学校にこだわりませんし、
宣伝活動も兼ねていました

>>527
よくご存知のようで

>>531
やる夫スレが好きなんです

535 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/25(水) 02:57:49.32 ID:424vGWM0
秋田に行こう行こうと思っているうちに、クリスマスが近づいてきてしまった。
2007年のイブは週明けだった。私は、その前の週末を使って、秋田に顔を出そうと思っていた。
木曜日の夜、私はメールを送った。

件名;おっつー☆
本文;今週末遊びに行くよ!何か買ってきて欲しいものある?
   土曜日のお昼に駅に着くから、迎えに着てねん(^o^)/

いつもは電話だが、来るなと言われても面倒なので、メールを投げ込んで突撃するつもりでいた。
私は会社の帰りに銀座まで出て、「ぶどうの木」で籠盛りチーズケーキの白々を買った。
メールは、返ってこなかった。

562:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 14:59:59.54 ID:4b5qEBEo
頭良い人の文は見てて気持ち良いな。

563:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :202009/02/25(水) 15:29:07.32 ID:cSpvk.6o
読書量の差だろうね

615 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:35:10.01 ID:mTsCmgo0
スレを立ててから、一週間、とうとうこのことに触れるときが来た。
今までずっと、誰かに聞いてもらいたいと思いながら、誰にも言えずにいた話を。
私はコーヒーを入れた。まだ熱くて飲めなかった。私は猫舌なのだ。

何度か、今までのように小説仕立てに書こうとしたが、あのときのことを思い出そうとすると、とても辛く、
タイプする指が止まったまま、時間が過ぎていく。
リビングは広くて寒い。ソファに座って、虚空を見つめる。涙は出ないが、なんとも言えない後ろ向きの感情に心が支配される。
コーヒーは、いつの間にか冷めている。

616 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:35:21.80 ID:mTsCmgo0
金曜日の夜、私は祭壇の上で笑う彼と対峙していた。

その日の朝、私は実家に電話をして、結納の日取りについて相談をしたところだった。
お母さんから連絡を貰ったのは午後のことだった。
羽田までタクシーを走らせ、飛行機に乗り、秋田空港からタクシーで彼の家に向かう。
その間、私は何も考えられずにいた。現実が受け止められなかった。

畳の匂いがする部屋で、私はしばらく彼の遺影を見つめる。お母さんが話しかけてきた。

母「1さん、これ、明日使う喪服ね」
1「。。。あ、はい。どうもすみません」
母「ごめんなさいね、こんなことになっちゃって・・・今まで入院もしたこと無いような子だったのに、心臓が原因だなんて」

心臓突然死という症名は初めて聞いた。

617 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:36:05.52 ID:mTsCmgo0
彼の部下が尋ねてくる。部下といっても、10以上は年上だろうか。忙しい生活なのか、髪にも白髪が混じっている。
お父さんが応対する。

部下「この度はどうも・・・非常に残念です」
父 「不出来な息子の面倒を見てくださってありがとうございました」
部下「いえ、そんなことは・・・木曜日は課のみんなで飲んでおったんですが、まさかこんなことに・・・」

通夜は、粛々と進んだ。この日のことはよく覚えていない。

翌日、お父さんとお母さんが葬儀屋と、遺体を東京に持ち帰るか、ここで荼毘に付して遺骨を持ち帰るかの相談をしていた。
色々事情があって、東京ではお骨だけの葬儀を挙げる事になった。

日曜日、葬儀が開かれた。
集まったみんなは泣いていた。色々な人が来ていたようだったが、よく覚えていない。ずっと心がどこかに行ってしまったようだった。
納骨も全て終えて、家に帰った。

618 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:36:17.65 ID:mTsCmgo0
テレビをつける。バラエティー番組ではみんなが笑っている。
楽しそうだ。そういえば、あの人もよく笑っていた。

木曜日までは、今日を指折り指折り数えて待っていた。
会ったら結納の話をし、婚約指輪をねだろうと思っていた。銀座にお土産を買いに行ったときには、ティファニーを覗いてきた。
浴びるように焼酎を飲んで、土曜の夜と日曜の朝の彼を独り占めしようと思っていた。
一緒に住むなら、今の家のテレビや家具は大きすぎるので、いくつか処分しなくてはと、後輩に譲る算段もしていた。

ふと気づくと目の前のテレビでは、昔の歌謡曲特集をしていた。こんな曲が流れていた。

http://www.youtube.com/watch?v=P7_9VfyU1Xk

619 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:36:27.67 ID:mTsCmgo0
二人で暮らすことを夢見て借りた今の部屋。
一人では大き過ぎるベッドにソファ、テレビ。ファミリーサイズの冷蔵庫に洗濯機。
食器棚には使ったことの無い夫婦茶碗と、お揃いの食器。
ワイングラスは赤白シャンパン用全てをペアで揃えた。ビール派の彼のためにビールグラスも買った。もちろん、焼酎用の焼き物もある。
その全てが、彼に使われることはもう永遠に無い。

ビールグラスにビールを注いで、テーブルに置く。もう1つ、焼酎のお湯割りを作る。
席に着いて、ビールグラスと焼酎のグラスをぶつけて乾杯をしてみた。
カチンと音がして、ビールの泡が、少しずつ消えていった。

(チーズケーキを、、、焼いて待ってるって、、、言ったじゃない。。。)

やっと、涙が出てきた。緊張が解けると、尋常ではない悲しさが襲ってきた。
その晩は一晩中泣いて、私は27歳のクリスマス・イブを迎え、初恋に別れを告げた。
焼酎は、やはり飲まなかった。



620 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:36:40.68 ID:mTsCmgo0
それから年末までは、視界がセピア色になったかのようだった。
顧客も年末休みに入っていたため、仕事も無い。無駄に後輩を年越しピッチでしごく気力も余裕も無い。
私は欠勤がちのまま、長州小力がゲストになっていた会社のYear End Partyも欠席して年末に突入した。

年末に親に一連のことを伝えると、まずは帰って来いと言われた。
おそらく、私が思いつめるのではないかと心配していたのだろう。
しかし私は帰らなかった。
帰ったら、もうこちらには戻って来れないような気がしたからだ。
それでもいいかもしれないが、このまま戻ったって、何もやることなど無い。もちろん、こちらにいたって、やることなど無い。
ただ、仕事はいつも私のそばにあった。それだけが唯一の救いだった。
仕事をしている間は、余計なことは考えずに済んだからだ。

621 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:36:52.69 ID:mTsCmgo0
この頃からしばらくの間、私たちの主な関心事は、主要な外資系投資銀行の決算になった。
と言うのも、サブプライムバブルが弾けた直後、最も評価損が大きかったのはメリル・リンチとシティだったのだが、
これは我々の実感とかけ離れていたためだ。
例えば、リーマン・ブラザーズはボンド・ハウスで知られ、高翌利回りの仕組み債などで大きな収益を上げていたし、
モルガン・スタンレーの証券化商品部(Securitization Products Group)は東京オフィスだけで100人を超える部隊を擁していた。
したがって、私たちはこれらの企業の決算に際し、近く、大きな火種が暴発すると見ていた。

経営陣は、各社のカウンター・パーティ・リスクが増大すると判断し、即座にデリバティブやスワップなどの入れ替えを指示した。
また、これは推測に過ぎないが、オフバランスした傘下ファンドに買い戻し条項付きで
CDO(Collateralized Bond Obligation)を買い取らせ、評価損の表出を遅らせていたのではないかと思う。
結果、弊社は2007年もレコード・イヤーの業績を達成した。
しかし、3月中旬、パリバ・ショックを遥かに上回る衝撃が業界を襲った。米証券大手、ベアー・スターンズの破綻である。



622 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:37:05.54 ID:mTsCmgo0
以降、市況は坂を転げ落ちるように悪化していった。
このへんは新聞でも頻繁に報じられていたので、読者諸氏もご存知だろう。駆け足で書いていきたい。

3月下旬、深夜会社にいると、モニターの株価が急降下している。リーマン・ブラザーズの株価が最大80%も下げた。
4月になり、株価急落によって資本が毀損された銀行に資本調達の提案を行おうとするも、反応は厳しい。
夏に向けて原油価格が急上昇し始めたため、原油に関するデリバティブ・ヘッジの提案を行うも、
原油価格が140ドルまで上がったところで、誰も先行きを予想できなくなった。フェア・バリューは60〜70ドルだったのだから。

リーマン・ブラザーズの破綻が決まった月曜日、東京は休日だった。
私は二日酔いだったが、メリル・リンチの友人からの電話で飛び起き、泊まりに来ていた他社の友人とともに着の身着のままで出社した。
誰もが、メリルの破綻と、バンカメによるリーマンの買収を信じていた。友人は、もう会社が潰れるからと、飲みに来ていたのだ。

すぐ、リーマンをカウンター・パートナーとしている取引の解消を進めたが、金融庁の対応が先行し、
リーマンの財産は保全手続きが行われ、民事再生法が適用され、先のデリバティブ・ヘッジの案件もロスを蒙った。


623 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:37:22.14 ID:mTsCmgo0
秋に入ると、モルガン・スタンレーのCDS(Credit Default Swap)が1400bpsまで上昇。
CDSとは、企業が潰れたときの保険みたいなものだ。上がれば上がるほど、潰れそうと思われているということになる。
リーマンは600bpsで破綻した。市場がどこに向かっているのか、誰にも判断できなかった。
あのとき、MUFJが1兆円を注入しなければ、確実に世界経済は崩壊していただろう。

幹が太い木ほど、大地に深く根を張り、枝を周りの木々に絡ませる。
モルガン・スタンレーの幹は太い。その根や枝の数も、リーマンやベア・スターンズの比ではない。
金融市場は、これまでに無いほど急速に病んでいった。

冬に入り、社内でも大規模なレイオフが断行された。為替の水準、株価の動き、全てが異常事態だった。
その直前期に、私の最後の仕事が幕を開けた。

624 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:37:37.61 ID:mTsCmgo0
仕事は、政策保有株、つまり持ち合い株の解消の提案であった。
2000年に入ってから、企業経営者にとって、敵対的な買収に対する防衛策は重要な課題であり続けた。
ライブドアによる日本放送買収、スティール・パートナーズによるブルドック・ソースの買収、TCIによる日本空港ビルデングの買収。
これらはいずれも失敗した案件だが、そのどれもがセンセーショナルな響きを持っていた。
そのため、多くの企業経営者は、メイン・バンクだけでなく、関係の近い事業会社とも株を持ち合うことで、
浮動株数を減らし、第三者による不意打ち的な買い占めを防ぐ戦略を採っていた。

もちろん、上場した以上は、自社の株式をどこの誰が買おうが口を出す権利は無いのだが、
日本の司法も、行政も、各企業の経営者も、グローバルな資本主義に晒されるには未熟に過ぎた。
日本は経済の水準は世界トップクラスだが、市場の成熟度で言うと、未開の原野のようなものだった。

株の持ち合いは、当初は非常に良く機能していた。
しかし、市場の急速な悪化は別のところから、企業の経営者の悩みの種を生み出したのだった。


625 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:37:51.88 ID:mTsCmgo0
それは、保有株式の評価損であった。ここから先は会計的な話になるので、興味のある方だけ読んで欲しいと思う。

通常、1年以上保有される有価証券は、貸借対照表内の固定資産の部の「投資有価証券」に計上される。
持ち合い株は、「お互いに株を長期間持ち合って関係を強め、かつ買収も防ぐ」というその性質上、
この部分に国債や社債などとともに繰り入れられる。
しかし、国債や社債の異なり、持ち合い株は債券と同じデフォルト・リスクに加えて、価格下落のリスクをも秘めている。
投資有価証券内の株式について、価格が大きく下落して半年以内に回復の見込みが無いと公認会計士が判断した場合、
企業はその損失部分を「特別損失」として、損益計算書に計上しなければならない。BSからPLに損失がヒットすることになる。

その結果、キャッシュフロー(CF)に打撃が与えられる。
不況時は、証券発行による資金調達が厳しくなる一方で銀行からの借り入れも難しくなるため、CFへのネガティブな影響は何としても避けたいところである。
なぜなら、本業が厳しくなる一方で、好況時に発行した社債の償還や、銀行借入の返済が迫ってくるからである。

例えば、不動産業など、数年がかりで作るものを売るようなビジネスの場合、
銀行に借りたお金でモノを作り、それを売るまでは儲けが出ないのだが、
債券の償還は決まった年月が来れば返さなければならないし、銀行借入は毎月手形を落とさなければならない。

そこで、持ち合い株の解消により、株式評価損のダメージを軽減することを検討してはどうかと閃いた。

626 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:38:03.87 ID:mTsCmgo0
これに気づいたのは、週刊ダイヤモンドで不動産崩壊という特集を見たときのことだ。
ダイヤモンドの分析は、会計的に甘い気がしたので、自分でモデルを組んで少し調べてみると面白いことが分かった。

破綻している企業の殆どが、営業CF(Operating Cash Flow; OCF)が財務CF(Financing Cash Flow; FCF)を下回っており、
その結果銀行借入を返せなくなって融資基準に抵触していた。
そこで私はまだ破綻していない企業の中で、この条件に合致する企業を探した。
つまり、2008年末に破綻する見込みが強い企業を探すのだ。
そうした企業に、提案を行う。手数料は極小で良い。
これは次年度への布石になるし、何より苦しんでいる優秀な経営者にお金を貸すことこそが、金融の重要な役割だ。
幸い、私は2008年もバジェットを達成していたから、人件費は0と考えて良い。
これが上層部にバレると、妨害を受けるだろう。こんな儲からない仕事はするなと言われてしまう。
部下も上司も使ってはいけない。私は徹夜で極秘のオペレーションに取り掛かった。

627 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:38:16.00 ID:mTsCmgo0
資料はすぐ出来たが、いまいち自信が無い。
と言うのも、こんな会計のからくりは、ちゃんとした企業の財務部であれば認識しているはずだったからだ。
では、なぜ彼らは持ち合い株を解消しないのか。
私はそのへんが分からないまま、ある企業にこの提案書を持っていった。
3年ぶりに、自分でコピーセンターに提案書の印刷と製本を依頼し、自分でカバンに入れ、いそいそと出かけた。

結果は、お話にならなかった。
だが、持ち合い株を解消しない理由が分かった。あまりにも素朴で、自分の発想の貧困さを私は恥じた。

担当者「いやー、昔からお世話になっているところの株でしょう?そんな簡単に売ったりできませんよ。
    それに先方にも株を持って頂いているのに、うちだけ売るっていうのは、そうは問屋が下ろさんでしょう」

困った。株式を売ったりはできないらしい。どうしよう。私は煮詰まってしまった。
帰社して途方に暮れていると、目の前の電話が鳴った。

「おー久しぶり!」

同業他社に転職していたアゴだった。

628 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:38:34.44 ID:mTsCmgo0
1 「久しぶり。よく転職できたね」
アゴ「腐ってもなんとやらだよ。達也は元気にやってる?」
1 「(元気も何も。。。)
   あー、元気なんじゃない?」
アゴ「なんだよ、相変わらず冷たいな」

アゴは転職したことを伝えるために電話をかけてきたのだ。おそらく修造がまだ社内に残っているかどうかも確認したかったのだろう。
ひとしきり話をして、私はふと思いついた。

(待てよ。。。そういや、こいつ、株式資金調達のスペシャリストだったな。。。何かいいアイデアを持ってないだろうか)

私は携帯でかけなおし、ことのあらましを話して、アゴにアイデアを求めた。

629 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:38:48.87 ID:mTsCmgo0
「あー、、それだったら、持ち合い株の価格をデリバティブ・ヘッジして担保するか、株自体の信託受益権を証券化すれば、
 株売らなくても資金調達できるよ」

さすが資本市場部生え抜きのエリートである。3分でアイデアを提示してみせた。

1 「でもそれでお金を貸してくれる銀行があるの?」
アゴ「ある」
1 「どこよ?邦銀だって今はガタガタよ」
アゴ「おいおい、僕の今の会社がどこか忘れたのか?」
1 「あ・・・」

アゴの転職先は、銀行系証券会社だった。
確かに、デリバティブの組成を私の会社でやってアゴの会社をカウンター・パートナーにしてもいいし、
アゴの会社で組成したシンプルな証券化商品なら、格付けも高いから私の会社で買ってもいいだろう。
これは日系他社にはできない。彼と私の会社でしか出来ない。
思いつきで始まった提案が、魔法のからくりになった瞬間だった。


630 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:39:03.34 ID:mTsCmgo0
それから私は、提案書を作り直し、色々な企業を回ったが、その殆どが私の提案を是非検討したいと言ってきた。

(これは・・・いける!)

私は会社として本案件を執行すべく、会議に諮った。ここでOKを貰えなければ、会社として動くことができない。
しかし、これは完全な勝ち戦だった。
なぜなら、これから使う人件費(Resource)は私とデリバティブを組成する人間だけで良かったし、青写真も既に出来上がっており、収益も期待できたからだ。
アゴのアイデアにより、本案件は十分な利益を出せるストラクチャーになっていた。
これが好況時なら、もっと稼げる仕事をやれと言われる可能性もあっただろうが、
他のバンカーはまったく仕事をしていなかったので、私にそれを言える人は誰もいなかった。

私は、デリバティブの組成担当に達也を指名した。
どうせ、カウンター・パートナーにする会社の担当者はアゴである。
利益相反の心配も無いのだから、師弟の併せ技と行こうと思ったのである。
私たちは年末までにあらかたの案件を終え、あとは会社に振り込まれる手数料をモニタリングするだけになっていた。

そして年の瀬が迫り、一周忌がやってきた。

631 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:39:18.45 ID:mTsCmgo0
私は喪服を着て、お寺に向かう。足取りが重い。
これから毎年、年末が来るたびに私はあの日を思い出すのだろう。
だがそれはいい。それくらいはしてやらないと、彼がさびしがるだろう。

法事を終え、食事を広間で取る。お酒も入る。さすがに私は飲めない。
昨年はみんなが泣いていたが、今はみんなが白い歯を見せて笑っている。
葬式も、一年経てば同窓会なのである。いや、時期柄から言えば忘年会か。個人の思い出話をしている人など誰もいない。

「1さん!」

弟君だ。就職が決まり、次の春から新社会人だ。少し会っていない間に大人っぽくなった気がする。
彼は私のことを「姉さん」と読んでくれていた。しかしなぜ今日は名前で呼ぶのだろう?

「元気無さそうだね」
「あのさ、俺、もう1さんのこと『姉さん』って呼ぶの止めるよ」


632 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:39:33.27 ID:mTsCmgo0
なんでそんな悲しいことを言うのだ、と思ったが、彼は更に続けた。

「最近、母さんも父さんも、兄貴の話あんまりしなくなったんだ。俺、それが最初は嫌でさ」

それはそうだろう。彼は弟と仲が良かった。弟の心の傷も深かっただろう。
だからこそ、私のことを姉と呼んだのだろうし。

「でも、それって悲しいって思うんだ」
「ここにいる人を見てごらんよ。去年は泣いてたけど、今年は楽しそうにしてるだろ?」
「人生、悲しんでばっかじゃ不幸だよ。幸せになるためなら、忘れていことだってあると思うんだ。」
「みんなそうやって生きていくんだよ、きっと。」
「だから、1さん。もう兄ちゃんのこと忘れてくれよ。まだ人生、長いんだから・・・」

633 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:39:48.35 ID:mTsCmgo0
弟は喋りながら泣いてしまって、最後まで話せなかった。
私は彼をそっと抱きしめ、自分の陰鬱とした表情がこの心優しい家族を如何に苦しめていたかを知った。

(もう法事に出るのはやめよう。その代わり毎年手紙を書こう)

彼は気恥ずかしかったのか、私を引き剥がし、兄にそっくりな笑顔で私の顔を見て言った。

「きっと、兄貴もそう思ってるよ。うちの兄ちゃんを好きになってくれてありがとう」

涙で弟の顔がぼやける。すぐ、涙をハンカチで拭い、弟の顔を見ようとする。
しかし眼球は像を結ぶことは無く、私はそのまま静かに泣いた。
弟は、そのまま泣いている私の前で正座をして、膝の上に手を置き、畳を見つめていた。

(泰ちゃん、私どうしたらいいと?そんなにすぐ忘れられんっちゃ。。。)

634 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:40:01.09 ID:mTsCmgo0
法事が終わり、年末に突入した頃、修造が突然私を呼び出した。
用件は分かっていた。私のやっている案件が、株式に関係しているのにも関わらず、
株式資本市場部長である自分が埒外に置かれているのが気に入らないのだ。

修造「君、例の案件だが、次のミーティングからは私も同行する」
1 「お断りします」
修造「何?君、自分の言っていることが分かっているのかね?」
1 「ええ、もちろん。私の案件の人員はもう十分に足りています。修造さんにご足労頂く必要はありません」

修造は、アゴをクビにしてしまったために、実働部隊になる手駒を持っておらず、2008年はバジェット未達のまま終えることが明らかだった。
そこで、収益を上げている本案件に噛むことで、生き残りを図ろうとしていたのだ。
しかし手口はアゴの一件で分かりきっている。その手には乗らない。
彼はもう稼げない。遅かれ早かれクビになる。ここを乗り切れば私の勝ちだ。



635 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:40:16.36 ID:mTsCmgo0
修造「私にそんな態度を取って済むと思っているのかね!?」
1 「おや、おかしいですね。修造さんはあんなに従順に働いたアゴをあっさり切られたではありませんか。
   私がどういう態度を取ろうと、いずれクビにするおつもりでしょう?
   どんな態度を取ろうが同じのように思うのですが」
修造「・・・次のレイオフを楽しみにしておくんだな」
1 「失礼致します」
修造「1くん!」
1 「なんでしょうか?」
修造「後悔するなよ」
1 「ご心配なく」

私は完全に勝った気でいた。それが誤解だったと気が付いたのは、年明けになってからだった。

636 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:40:31.80 ID:mTsCmgo0
年末は一人で年越しそばを作って、新年を祝った。
一人でそばをすすり、テレビの「あけましておめでとうございます」というナレーションに一人反応する

「明けましておめでとうございます」

学生時代は初詣はいつも泰司と明治神宮に行ったものだった。彼に彼女がいたときは、弟くんと4人で行った。
弟くんは当時高校生であり、話に下ネタが多くて困ったのがつい昨日のように思い出される。
私のおみくじはいつも小吉か凶で、泰司はいつも中吉か大吉だった。

「お前早死にするんじゃね?wwwwwwwwwwww」

やめよう。思い出すと辛い。


637 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:40:49.06 ID:mTsCmgo0
年が明けて、2月も半ばを過ぎたある日の夕方、達也から電話がかかってきた。

達也「1さん・・・」
1 「どうしたの、突然?」
達也「僕クビになっちゃうんで・・・あの案件もうできません・・・引き継ぐ人もいません。
   どこか別の会社にお願いしないと、契約不履行になりますし・・・お客さんもアウトです」
1 「なんですって!?」

迂闊だった。修造は株式資本市場部長。部分的にではあるが、株式部の人間にも人事権を行使できる。
彼は私に直接手出しを出来なかったので、達也に照準を定めてきたのだった。

達也「短い間でしたけど・・・1さんとアゴさんと仕事ができて良かったです」
1 「待ちなさい!何諦めてんのよ!お客のために最後まで頑張りなさい!ちょっと今そこまで行くわ!」

私は投資銀行部門のドアを開けて、階段を走り降り、株式部があるデスクまで走る。


638 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:41:04.39 ID:mTsCmgo0
1 「達也いる!?」
新人「あ、1さんチョリーーッスwwwwwwww」
1 「達也はどこだって言ってんの!」
新人「あ、あっちです・・・」

達也のところまで行くと、デスク周りの荷物を片付けている。
デスクの上には封筒が。おそらく中身は解雇通告書だ。これはまずい。

1 「人事に呼び出されたのはいつ!?」
達也「さっきです」
1 「書類見せて!」

Your employment date shall be no later than this weekend...

(ひどい、、、こんなの見たこと無い)

達也の解雇条件は即日であり、退職金は数日分しか出ないと書いてあった。



639 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:41:18.94 ID:mTsCmgo0
1 「ちょっと待ってなさい!あなたは今まで作った全部のファイルを私に送って。Ccにアゴを入れておいてね!」
達也「どこに行くんですか?」
1 「性悪親父をとっちめにいくのよ!」

私は急いでデスクに戻って座席表から修造の携帯電話の番号を確認し、呼び出す。

〜お客様のおかけになった電話は、電波の・・・〜

「Shit!」

修造の秘書に電話をかける。

1 「修造は今どこに出てるの!?」
秘書「は、はい。丸の内のグラン・ノース・タワーです」
1 「3分後にロータリーに日本交通の車回して!大至急よ!」
秘書「はい、分かりました」

640 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:41:32.63 ID:mTsCmgo0
超特急で身だしなみを整え、エレベーターに飛び乗る。もちろん、靴は脱いでカバンの中だ。
タクシーの車内でアゴに電話する。

1 「もしもしアゴ!?かくかくしかじか」
アゴ「なんですと!?」
1 「だからこれから直談判よ!」
アゴ「バカ!お前、何を話すつもりだよ!何のカードも無いだろうが!」
1 「そんなのクビ締めてでも撤回させるのに決まってんでしょうが!」
アゴ「そんなことしたら相手の(ry」

アゴは頼りにならない。俺も一緒に行って一本背負いかましてやるくらい言ってくれるかと思ったのに。
目的地に着いた。タクシーにチケットを放って、ロータリーで仁王立ちする。
程無くして、修造が中から出てきた。



641 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:41:47.88 ID:mTsCmgo0
彼は私を見て一瞬驚いたように見えた。

1 「卑怯じゃないですか!彼は他部門の新人ですよ!?
   今こんな時期にクビになったら、どこにも行けないのに、あなたは何をやったか分かってるんですか!」
修造「何のことかね?」
1 「撤回してください。。。彼の解雇を!」
修造「ふむ・・・」
1 「早く!」
修造「言ったじゃないか、後悔するなよって」
1 「!」
修造「でもまあ、そうだな。君があの案件から手を引くなら、考えてやってもいい」


642 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:42:03.58 ID:mTsCmgo0
やられた。
達也に履歴書に書けるような経験を積ませようと思ってこんな隠密作戦に関わらせたのが仇になってしまった。

1 「しかしあれはGIGの案件で!」
修造「プロダクトはECM(株式資本市場部)だろう!なぜ私を通さない!」
1 「何を考えているんですか。。。あれが不履行になれば、倒産する企業だって出てくるんですよ!?
   人が不幸になるばかりか、弊社の評判だって落ちる。。。何もいいこと無いじゃないですか!」
修造「構うもんかね。どうせその頃私はいないんだから」
1 「そんな。。。」
修造「君、何か勘違いしてるんじゃないの?
   いつからお前は慈善事業家になったんだ?俺達は金貸し屋だし、株屋なんだよ。公務員でも無けりゃ牧師でもない。
   私がいなくなった後、くず会社がどうなろうか知ったこっちゃないね」
1 「。。。どうすればいいんですか?」
修造「言っただろう?案件から手を引けと。そしてメールを書け。『本案件はECMの管轄下に入ります』とね」

643 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:42:19.58 ID:mTsCmgo0
私は呆然としていた。横を修造が通り過ぎる。

「急げよ?解雇の取り消しは、オフィスを出たら、もう手遅れだ。もう時間が無いぞ?」

修造がタクシーに乗った後、私は急いでタクシーに乗って追いかけながら、ブラック・ベリーで、文面を作成する。

〜Due to our business justification...〜

修造に言われた通りに文章を書き、送信した。これで終わりか。
しかし達也に迷惑はかけられない。今回はしょうがない。また新しいストラクチャーを考え出せばいい。

私は意気消沈して、オフィスに戻った。
すると、ビルに設けられた会社の専用出口から、紙袋をさげてとぼとぼと出てくる青年がいる。達也だ。


644 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:42:39.22 ID:mTsCmgo0
「あんたなんで出てくるのよ!?」

手遅れだったのか?修造が約束を守らなかったのか?こいつが間抜けで出てきてしまったのか?
事実はその全てだった。

「いや、あの・・・とりあえず明日また書類を交付するから出社しろってことで・・・あ、ファイル送っておいたので宜しくお願いします」

だめだ、もう目が虚ろになってる。
話が違う。これは問い詰めなくては!
オフィスに駆け戻ると、修造の部屋に行き、ドアを閉める。
部屋の外面はセクハラ防止のためガラス張りなので、外からは我々がもめているのが丸見えだ。

1 「話が違うじゃないの。。。」
修造「は?何のことだ?」
1 「約束を破ったなって言ってるのよ!」


645 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:42:53.01 ID:mTsCmgo0
怒声とともに机を叩くが、修造は表情をぴくりとも変えない。さすがにこの業界で10年以上働いてきただけのことはある。

「君さあ、甘すぎだよ。僕だってこの業界長いんだよ?あんな風にこけにされて、そのまま引き下がると思う?」

つくづく自分の浅はかさが情けない。まさかここまでやってくるとは思わなかったのだ。

1 「これ以上、何をしろって言うんですか。。。」
修造「何、君の誠意を見せてくれればいいんだよ」
1 「誠意って。。。」
修造「今晩9時、リッツの4712で待っている。せいぜいめかし込んで来るんだな」
1 「。。。げすやろう」
修造「口の利き方に気をつけろ!さあどうするんだ?」

ここでひるめば、確実に達也のクビは飛ぶ。返事は1つしか有り得なかった。

1 「。。。10時にしてください、、、今から美容院を予約します。そのかわり!」
修造「なんだね?」
1 「今この場で人事を呼んで、達也のレターの破棄と、最低3年以上の勤務ギャランティをつけたオファー・レターを作成してください。
   今すぐにです!」

646 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:43:10.19 ID:mTsCmgo0
(うち、なんしよるんやろ。。。)

広尾の美容院で髪をセットし、赤坂にタクシーを走らせる。これからパーティですか?と聞かれたが、答える余裕は無かった。
ニューヨークで着て以来2年間クローゼットの住人だったドレスとアーム・ウォーマー。まさかこんな使いことをすることになるとは。

途中の六本木の人通りはまばらだった。景気が悪いからだろうか。最近は週末でも人の少なさが目立つ。
私の心の荒みっぷりを表しているようで、奇妙な親近感が沸く。
思えば、大学を卒業してから、何をするにもこの街で過ごした。他の街は知らない。広尾はまだ他所の街という気がする。

(うちがちょっと我慢すれば、全部丸く収まる。。。)

車はすぐに着いてしまった。もう少し時間が欲しかった
私はミッドタウンにすら一度も来た事が無かった。初めての来訪がこんな形になろうとは夢にも思わなかった。
43階に上がり、ロビーで名前を告げると案内された。

(絶対、デリヘル嬢か何かと思われとーよ)

なんだか泣きたくなってきた。


647 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:43:32.79 ID:mTsCmgo0
部屋に入ると、修造がきちんとしたスーツ姿で椅子に腰掛けて待っていた。

「来ないと思っていたが、ずいぶん派手な格好で来たもんだな。まあ飲めよ」

自分で言ったくせにと思う私をよそに、グラスにワインが注がれる。あれを飲んだら、もう後には引けないだろう。

一瞬の間に色々なことが頭をよぎる。いくら部下のクビを守るためとは言え、自分の体を売ってもいいものだろうか。
泰司ならきっとこう言っただろう。

「女の格が下がるようなことしてんじゃねーぞ」

私は床に三つ指をついて土下座をした。


648 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:43:48.17 ID:mTsCmgo0
修造「どういうつもりだね?」
1 「すみません、、、なんでもしますから、今日は私の土下座に免じて勘弁してください」
修造「は!君はどれほど偉くなったつもりなのかね?君の土下座にどれほどの価値があるんだね?思い上がるのもほどほどにしたまえ!」
1 「!」
修造「まあいい。なんでもすると言ったね?」
1 「、、、はい」
修造「では君、ここで辞表を書きたまえ。今すぐにだ!」
1 「、、、あなたは、あなたは恥ずかしくないのですか!
   そんなことをして、人の恨みを背負って何があなたに残るって言うんですか!?」
修造「君にそれが関係あるのかね?ごたごた言わずに書きたまえ」
1 「。。。私がここで社内のER(Emergency Reporting)にあなたのしたことを密告するという手もあるのですよ?」
修造「バカかね、君は?」
1 「どういうことです?」
修造「君の案件は、アゴが噛んでいるんだろう?法人関係情報の漏洩を金融庁に垂れ込めば、君は証券界にいられなくなる。
   かつての同僚に手心を加えるとは、君も甘いな」
1 「そんなことをすれば、弊社も、あなたの未来も危うくなるじゃないですか!?」
修造「だから何度も言っているだろう。構いやしないんだよ、そんなことは!さっさと辞表を書け!」


649 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:44:04.12 ID:mTsCmgo0
私はその場で、一身上の都合により職を辞するという文言を書いた。
自己都合退職は、会社都合退職と違って、様々な面で不利になる。
失業保険の給付、退職金、転職の際のレファレンス・チェック。その全てに、「自己都合」の4文字が付きまとう。
私は泣きながら、自分の死刑執行文を作成し、二度、涙がこぼれたために書き直した。
それを三つ折りにして差し出すと、修造はおもむろにそれを内ポケットに収めた。

「ブラックベリーも今ここで預かっておく。IDカードもだ。アメックスのコーポレート・カードも出せ」

その場で私は、入社以来6年間お世話になってきたものを差し出し、投資銀行員としての生活に別れを告げた。
修造は表情を変えずに、部屋を出て行き、私はしばし虚空を見つめた。

望んだ仕事では無かったが、採用されてから6年間、一生懸命に働き、色々なことを教えてもらった。
せめて最後は、みんなに「ありがとう」と伝えてから職場を去りたかった。しかし、それも所詮、自分の信条を曲げてまでしたいことでもなかった。
そう思うと、自分はなかなかにしっかりした人のように思えた。

(泰ちゃん、私、一生懸命やったよね)

不思議と、悔しさよりも達成感が残った。

650 名前: ◆RWwEbHEhig 投稿日:2009/02/27(金) 05:45:47.24 ID:mTsCmgo0
以上が、私がクビになるまでの顛末である。
会社のコンプライアンス部門には、事の一部始終を報告したが、退職金の額が3か月分上乗せされただけだった。
それを見て、憤りよりも感心を覚えた。さすが私が勤めていた会社。手抜かりは無い。

さて、そんな話はどうでもいいだろう。これから手短に総括をしたいと思う。

時間をずらして投稿をしたことをまず謝りたい。一人ひっそりと、このスレの幕引きを行いたかったのだ。
しかし、私の心はとても晴れやかだ。まだ私は、30にもなっていない若造なのだ。人生はまだ、半分も過ぎていない。

先日、ある映画を見た。老人で生まれた男が若返っていく、というフィッツジェラルド原作の映画だ。
あの映画のテーマがどういうものなのかは私は知らないが、私には「人生とはかくも素晴らしい」というものに思えた。
老人で生まれた男は、人を愛し、素晴らしい人生を生きた。誰が彼の人生を笑えようか。
人間、どう生きようが、いつかは死ぬ。人は、その限られた時間を咲く徒花なのだ。皆々様のお花も、精一杯に咲き乱れるがいいさ。
そう思えば、私のこの6年間も、その限られた時間のほんの一部に過ぎない。まだ花のつぼみは閉じているはずだ。

そのときそのときは、悲しいと思え、嬉しいと思えた事どもも、死ぬ間際に色鮮やかに思い出せるかどうかは分からない。
また、今は忘れているようなことも、死ぬ間際に思い出していることもあるかもしれない。
ただ1つはっきりしているのは、いつかは「死ぬ間際」というタイミングがやってくるということだけ。
人生の最後に、「我かくありき」と思えれば、それでいい。他には何も望まない。
残りの人生も、喜び怒り、哀しみ楽しみながら、生きていきたいと思う。

最後まで、私の独り言に付き合ってくれてありがとう。パソコンの前のあなたに、幸多からんことを!


〜あるvipperの思い出話〜


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